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2012 年度 実施状況報告書

不均一径のフィブリルを配向させた人工腱マトリクスの創製とその再構築機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24500534
研究種目

基盤研究(C)

研究機関地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター

研究代表者

柚木 俊二  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第二部バイオ応用技術グループ, 副主任研究員 (20399398)

研究分担者 安田 和則  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20166507)
近藤 英司  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60374724)
畑山 博哉  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, その他部局等, 研究員 (80614552)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード人工腱
研究概要

1)コラーゲン線維化と化学架橋の同時プロセッシングを利用した人工腱マトリクス製造装置の試作: 同時プロセッシングとせん断の組み合わせ、インプラント可能なサイズのコラーゲン線維配向線維束の作製に初めて成功した。従来技術はいずれも配向線維を基板に付着させる方法であり、インプラント作製方法としてはスケールアップが困難であった。
線維束の量産化に向け、動的粘弾性装置に付属できる円筒型(円筒型容器内でシリンダーを回転させるせん断装置)を試作した。動物実験用のサンプルの量産を検討中である。
2)人工腱マトリクスの微細構造と物性の解析: コラーゲン線維配向線維束の単線維径はネイティブタイプ(約70nm)と同じであることがSEM像から示された。線維束の作製工程ではゲニピンによる架橋が導入され、コラーゲン濃度0.5%の線維ゲルのせん断弾性率が7±2kPaから50±8 kPaまで増加した。コラーゲン濃度の増加と線維配向後の圧縮により、更に硬さを増加させることが可能であること考えられた。
構造解析と並行して配向化メカニズムの解析を行った。我々が開発した同時プロセッシングにおいては、線維形成時に起こる劇的な弾性率増加時にせん断応力を与えることが、配向コラーゲン線維作製に必要であることを明らかにした。更に、水溶性の化学架橋剤ゲニピンの架橋反応が25℃から37℃までの温度上昇によって飛躍的に活性化されることを明らかにした。
3)動物実験: 兎膝蓋腱の中央1/3を切除して欠損部を作製した動物モデルを作製した。また膝蓋骨‐マトリクス‐脛骨複合体を摘出し、Video-dimension analyzerを組み込んだ生体軟組織材料試験システムを構築し、37℃生食水中での引っ張り試験の予備実験を行った。しかし動物実験用のサンプルの量産が下記の理由でおくれたために、本実験の実施には至れなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度の中盤には量産技術を確立する予定であったが、配向コラーゲン線維束を安定して作製できる製造条件の確立が年度末になった。そのために本実験の実施には至れなかった。しかしその一方で、新規かつ量産性の高い配向コラーゲン線維束の作製方法が確立し、更にそのメカニズムの詳細が明らかになった。まずは、都産技研独自に行っていたゲニピン架橋の温度応答性について学会発表1件、論文投稿1件、および特許出願を1件行った。更に、配向化技術については北海道大学と共同で特許を出願予定である。配向メカニズムの解明によって、平成25年度以降に行う‘配向コラーゲン線維の配向度や太さを変える技術’への展開にとっての重要な準備研究となった。

今後の研究の推進方策

平成25年度において、本研究の最も重要な‘人工的に作製したコラーゲン線維マトリックスの配向が腱リモデリングに及ぼす影響’に関する評価を推進する。そのためのコラーゲン線維配向化技術を平成24年度に確立し、量産準備を終えた。
平成25年度の前半に、構造制御された人工腱マトリクスの動物実験を実施する。“配向コラーゲン線維束”および“非配向(ランダム)コラーゲン線維束”をもとに、その架橋度と密度を化学架橋および圧縮により調整して合計6種類の構造制御された人工腱マトリクスを量産し、動物実験に供する。以下に記述する評価から、本試験で使用する3種類の代表的人工腱マトリクスを決定する。1)電子顕微鏡観察と引っ張り試験により、人工腱マトリクスの超微細構造と物性を明らかにする。2)兎膝蓋腱の中央1/3を切除して欠損部を作製し、コラーゲン構造を制御した6種類の人工腱マトリクスを移植する。膝蓋骨‐マトリクス‐脛骨複合体を摘出し、移植後3および6週で各群5頭ずつ屠殺し、生体内再構築現象の解析に供する。3)ideo-dimension analyzerを組み込んだ生体軟組織材料試験システムを用いて、37℃生食水中での引っ張り試験を行い、移植後のマトリクスの生体力学的評価を行う。4)移植後マトリクスの組織切片観察を行う。
以上の評価により、腱リモデリングに影響を与えるコラーゲン線維構造が明らかになるはずである。そこで平成25年度の後半には、制御する構造を3種類に絞り込んだ人工腱マトリクスを量産し、同様の動物実験と評価に供する。試験数を増やし、信頼性の高いデータを得ることが目的である。

次年度の研究費の使用計画

研究費は当初の予定通り執行する。
■直接経費170万円のうち物品費140万円、旅費28万円、および英文校正の委託費2万円である。平成25年度は人工腱マトリクスの量産のためのコラーゲン材料費、動物実験の動物飼育費、および摘出した人工腱マトリックスの生物学的評価のための試薬費が主である。
■旅費については、2組織間の打ち合わせを2人×2回予定し、国内学会を1件(バイオマテリアル学会)予定している。
■コラーゲン線維配向化技術について論文1報の投稿を予定しているので、その英文校正の委託費も計上している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Temperature-responsive Gelation of Type I Collagen Solution Containing Genipin that Keeps Fluidity at Room Temperature2012

    • 著者名/発表者名
      Shunji Yunoki, Hirosuke Hatayama, Yoshimi Ohyabu
    • 学会等名
      The 9th SPSJ International Polymer Conference (IPC2012)
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      20121211-20121214

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公開日: 2014-07-24  

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