厚さ3 mmのゲルの全層にわたってコラーゲン線維が一軸配向する、天然の腱の基本構造を模した線維束の作製技術を開発した。高濃度コラーゲン水溶液の線維化速度を加速し、ゲル形成期に限定して剪断応力を付与すると、ゲルの破壊を伴うことなく配向コラーゲン線維束が得られた。線維配向性は線維芽細胞に認識されるに十分であり、線維束は天然腱類似の力学的異方性を示した。ウサギ膝蓋腱に埋植したゲル状の配向コラーゲン線維束は、細胞浸潤性を示さず、6週の間に力学特性の変化を生じなかった。本研究により、配向コラーゲン線維束の作製技術が一般化され、細胞浸潤を促す階層構造が人工腱にとって必要であることが明らかになった。
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