研究課題/領域番号 |
24500536
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
水戸部 一孝 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60282159)
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研究分担者 |
齊藤 元 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20323149)
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キーワード | ハイパーサーミア / 感温磁性体 / 低侵襲 / ガン治療 / QOL / 深部温度計測 / 温熱療法 |
研究概要 |
本研究では呼吸器系の末期ガン患者のQOL向上のための低侵襲温熱治療技術の構築を目的としており,本研究課題では非侵襲深部温度モニタリング機構を備えた新たな治療機器の開発および改良と,臨床応用に向けた物理実験および動物実験による妥当性評価の実現を目指す。 平成25年度は,「ロボットアームによる回転走査機能を備えたコイルユニット」を構築した。コイルユニットはドライブコイルにピックアップコイルを一体化させた構造であり,コイルユニットを感温磁性体の周辺で回転走査することで「ロバスト性に優れた体動影響除去法の実現」を目指した。そのために必要なロボットアームの回転走査アルゴリズムをプログラムに実装し,物理実験により本手法の妥当性を検討すると共に,計算理論の最適化を図った。この過程で,磁束ベクトルの変化分をピックアップコイルに生じる誘導起電力としてDSPロックインアンプで計測し,GPIBを経由してPCで自動計測するための検査システムをLabViewにより構築している。その結果,冷却過程における感温磁性体の温度がワイヤレスに計測できることを実証した。現在,これらの知見をまとめた論文の執筆を終え,投稿中である。 さらに,前年度に開発した「複数のピックアップコイルからの信号を用いて体動の影響を低減するための計算理論とアルゴリズム」を改良し,1組のピックアップコイルでドライブコイルを流れる電流の変動を低減できるSN比の高いドリフト低減手法を新たに考案した。この知見は論文としての査読をパスし,近日中に掲載の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画していた「回転走査機構を組み合わせた低侵襲温熱治療システム」の妥当性を実証できたことに加え,前年度開発した手法を進化させた「1組のピックアップコイルによる磁束ドリフト補正手法」を新たに考案でき,当初の計画以上の成果が得られているため評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は以下の到達目標の達成を目指す。 I.患部を最適な治療温度(43℃)で維持されるように非侵襲的に温度を計測しながら誘導加熱用電源を制御する低侵襲温熱治療システムを試作する。 II.体内に埋め込まれたクリップ,義歯等の金属の発熱リスクを回避するために必要な(金属探知機に磁場解析シミュレータを組み合わせた)安全性評価技術を構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は国際学会が日本で開催されたため国際会議に参加するための旅費負担が軽減されたため。 今年度参加する予定の国内・国際会議への旅費として支出の予定。
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