二次元超音波アレイを用いた音場制御と3Dイメージングの組み合わせによる、超音波の診断治療応用の研究を行った。音場制御によるHIFU応用技術についてはアレイ長が10㎝の1MHzの超音波プローブを使った場合、プローブの機械的な操作を行わずに各プローブのONOFF制御だけを行って、超音波エネルギーをの焦点を上下左右に3㎝移動させることに成功した。この時、焦点のエネルギーは細胞を死滅させるには不十分で、少なくとも2倍のエネルギーが必要であることが分かっており、HIFU応用を行うにはさらに改善が必要と言える。しかしながら、焦点の移動を容易に行えることが分かったことは大きな成果で今後のHIFU治療への応用の可能性を示したといえる。また、診断の研究は主に画像再構成の高速化の研究を行っており、並列計算の効率化や専用ハードウェアの設計などを行った。現在のイメージングシステムは送信素子64個、受信素子64個で構成されており、このアレイ条件ではスループットがおよそ0.1vol/s程度であったが、マルチコアCPUを用いた並列計算やGPGPUを用いた並列計算、さらには専用ハードウェアとしてFPGAを用いることによって、スループットを最大で4vol/sまで上昇させることができることが確認できた。これまで、本手法はエコー情報取得のサンプリングレート5000vol/s以上と非常に優れていたが、診断中実際にディスプレイに表示される速度は非常に遅かった。今回の研究によって、1秒間に4回の更新ができることが分かり、現場で利用するものとして現実性が出てきた。本研究ではこれらを組み合わせることを考えていたが、個別にブラッシュアップするところまでが成果となった。
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