研究課題/領域番号 |
24500539
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
後藤 敏行 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (30234991)
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研究分担者 |
影井 清一郎 横浜国立大学, 環境情報研究院, 名誉教授 (20017966)
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キーワード | 医用画像 / 3次元CT / 時系列MRI / COPD / モダリティ統合 / 肺葉 / 肺野構造解析 |
研究概要 |
これまで、医用画像における複数モダリティの統合法の研究は、おもに静止した器官を対象としており、胸部などの運動する器官に適用できる方法は確立されていない。研究代表者らは、肺野内部を運動する場として捉え、運動全体を総合的かつ定量的に把握する方法を提案するとともに、COPDなどの慢性閉塞性肺疾患の患者でも肺野内の運動が比較的少数の運動パターンに支配されていることを明らかにした。本研究では、この基本運動パターンモデルを用いて呼吸状態の違いを回避して、3次元CTから解析した肺葉や肺区域などの肺野構造、病変分布、運動の局所的複雑さ、血流動態などの機能情報を統合し、解剖学的な肺野の構造に対応した各種機能分布を解析し提供できるシステムの開発を目指す。 研究2年目の平成25年度は、平成24年度に開発した「3次元CT像を用いた肺野構造解析システム」と「異種モダリティの対応探索法・統合法」の改良を進め、3次元CTと造影MR画像の空間分解能や描出撮像組織の違いを回避しながら呼吸運動状態が異なる肺野内特徴点を対応探索し統合するシステムを試作した。これと並行して、研究の検証用として用いるCTとMRの画像サンプルの収集を継続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COPDなどの慢性閉塞性肺疾患に対応した「3次元CT像を用いた肺野構造解析システム」について医師の評価に基づきその適用性の改善を進めるとともに、「肺野構造に対応した血流解析システム」の試作を進めた。その成果を国際会議(IEEE Engineering in Medicine & Biology Society)において公表した。また、昨年度試作した「肺野構造単位肺疾患病変解析システム」を用いて、神奈川県立循環器呼吸器病センタおよび埼玉県立循環器呼吸器病センタにおいてCOPD症例を対象に機能評価を継続した。さらに、「肺動脈と大動脈経由の血流を考慮した2入力血流モデル」の改良を進め、その成果を平成26年5月に開催される国際会議(IEEE International Symposium on Biomedical Imaging)で発表することが決まっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、平成25年度までに開発・改良した肺野構造解析システムを用いて抽出されたCTの形態情報とMRやCTで得られる機能画像の対応関係を求める方法について、患者への適用性の向上を目指す。CTとMRの画像で呼吸状態や撮像における描出組織が異なるという問題がある。平成26年度には、これまで検討したMR像とCT像の正規化法に加えて、比較的少数の運動パターンに肺野内のすべてが支配されるという運動パターンモデルを活用した対応探索法の開発に重点を置く。さらに、これまで開発した「肺野構造解析システム」、「病変解析システム」、「血流解析システム」を統合することによって、病変の種類と血流の関係性について検討を行う。 研究体制と役割としては、研究代表者の他に研究分担者1名と研究協力者1名で前年度までと同一の構成とする。平成26年度の役割分担を次にまとめる。 1)異種モダリティの対応探索法・統合法: 運動パターンを用いた対応探索法の開発(後藤、影井)、肺野内の病変に対応した血流動態解析(後藤、影井) 2)関連性評価、臨床評価(後藤、岩澤)
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