本研究では,慢性肺疾患の患者でも肺野内が少数の運動パターンに支配されているという知見に基づき,呼吸状態の違いを回避して肺野内運動を追跡する手法について検討した.また,時系列造影MR画像に対して肺動脈と大動脈に由来する血流を分離しながら解析する血流解析手法を提案するとともに,異種モダリティ間の対応探索・統合法を開発した.さらに,3次元CTから気管支,肺血管,肺葉などの構造を高速かつ高精度に抽出する手法を提案するとともに,慢性肺疾患に対する適用性を検証した. これらの成果をもとに,肺野内病変や,肺内部の血流動態を解剖学的構造に応じて解析するシステムを試作し,臨床への適用評価を進めている.
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