我々は,体幹部FDG-PET画像において統計学的画像解析法により異常集積領域を検出するCADの開発を行っている.統計学的画解析法は,主に3D-SSPやSPMといった脳機能解析に用いられており,正常症例データベースと対象症例を比較することにより,異常を同定する.この解析法は,領域の抽出,変形,統計情報のマッピングの技術に基づく.そこで,効率的な臓器領域の抽出による体幹部標準化手法,また,統計情報の利用について検討した. 臓器領域の抽出はこれまで手動で行ってきたが,本研究では,PET/CT装置で撮影されたCT画像から臓器領域の自動検出を行い,標準化を行った.また,FDG-PET検査では,Standardized Uptake Value(SUV)を用いて糖代謝の評価を行う.しかし,SUVは生体の状態により変化するため半定量的評価値とされており,症例や臓器によって正常な値の範囲が異なるため,画像診断を行う上で問題となっている.そこで,統計情報であるZ-scoreの利用が有用であると考える.本研究において,Z-scoreの有用性を検証した. SUVに対するZ-scoreの有用性の評価について,ROC解析を行った結果,2つのAUCにほとんど差はなく,有意差も確認されなかった.今回はSUVとZ-scoreは同程度の評価となった. 以上の結果から,癌治療の効果判定において,Z-scoreは異常領域の活性度の定量評価に用いることができると結論付けた.
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