内視鏡検査・治療の安全性、確実性などの向上を図るため、放射線性被曝の無いMRIと内視鏡を融合したMR内視鏡システムの研究を進めている。本研究では、消化管内に設置するMR撮像のためのRFコイルをphased array化して、消化管を詳細にMR撮像する範囲の拡大や信号雑音比の向上を目指した。平成24~25年度は、RFコイルのphased array化よりも、効率的かつ確実に内視鏡観察する部位をMR撮像するための機能開発を重点的に行った。それによりナビゲーション機能を改良し、MRI装置かつ体内にあるRFコイルの場所を検出してMR撮像範囲を決定、多断面MR撮像で得たボリュームデータを利用したMulti-planar reconstruction (MPR)画像の表示①、内視鏡先端からの位置に応じた直交断面MR画像の表示②、ボリュームデータから構築した3D画像と①と②の画像への内視鏡位置と姿勢の情報の組込み、内視鏡映像の表示、さらにこれらのリアルタイム表示・制御を可能とした。これらの機能は、1.5T-MRI装置のシールド室内でリモート操作可能とし、ファントムや摘出動物組織の実験で操作性、各画像表示の整合性や改良点などを明らかにした。最終年度では、胃潰瘍モデルの動物実験を行い、ナビゲーションによるMR撮像範囲の決定から胃潰瘍の詳細なMR撮像を行い、胃壁の表面にある粘膜層から粘膜下層までが欠損している潰瘍の断面構造を描出し得た。また、3D画像により潰瘍の空間的配置も表示することで、臨床的に有用な情報を提示し得るシステムを構築できたと考える。また、phased arrayコイルは2チャンネル構造として、単一RFコイルよりも広範囲のMR撮像を可能とするコイル形状と特性を電磁界解析も行い調整した。
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