研究課題
糖尿病の主要な症状の一つである指先の触覚感度低下が、発症の初期から発見でき、症状の進行度を定量的に計れることは、早期の診断や的確な治療に大きく貢献できる。本研究では、糸状に加工した形状記憶合金(SMAワイヤ)の微小振動子をアクチュエータとして用いた触覚デバイスを構築し、糖尿病患者らの症状の一つである指先感覚の喪失の程度を数値化する、指先触覚感度測定手法を開発することを目的とした。前年までの研究で、SMAワイヤを用いた高出力触覚呈示デバイスの構築を進め、皮膚のミクロンオーダの部位に300Hzまでの微小振動刺激を与えることで、触覚の高次知覚であるファントムセンセーションや仮現運動の呈示が可能であることを示した。これらを利用して、物体をなぞった際の様々な触覚感覚が呈示できることを実証し、糖尿病患者の指先感度低下の程度を定量的に測定する手法の基本原理を確立した。研究最終年度は、指先触覚感度を定量的に測定するシステムを構築し、糖尿病などで引き起こされる末梢神経障害に起因した指先感覚の喪失程度を数値化する測定法の実装ならびに、実用化を目指した実証実験をおこなった。指先触覚感度測定システムは、触覚呈示アクチュエータを駆動するドライバおよびマイクロコンピュータ、液晶パネル表示器を電子基板上に一括実装し、乾電池4本で駆動する携帯型装置として構築した。内蔵のマイコンよって、SMAワイヤの振動強度、周波数、振動立ち上がり速度、各素子の駆動タイミング、駆動時間などのパラメータを実時間制御し、触覚刺激を呈示する。指先触覚感度測定は、症状に応じた刺激パターンを手指に与え、これを患者に答えさせることにより感度測定をおこなう手法を実装した。若年から高齢に渡る多様な年齢層の健常者ならびに、様々な診断レベル、症状、治療歴、既往歴を持つ糖尿病患者に対して実証実験をおこない、システムの有効性を確認した。
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