研究課題/領域番号 |
24500550
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉永 幸靖 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 助教 (60304854)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 画像診断システム / 眼科学 / 分光分析 |
研究概要 |
本年度は線集中度の異方多重解像度解析を4次元オブジェクト空間表現の可能性を含めて検討した。異方性多重解像度の定義方法としては「輝度勾配ベクトルの生成スケール」に着目し、線集中度の持つ多重解像度間の構造関係とノイズの関係について検討した。線集中度はベクトル強度を完全に無視し方向分布だけを評価することから、ノイズの存在しない環境下では小スケールで得られる線構造が大スケールで得られる線構造を包含し、スケールが大きくなるにしたがって小さな構造が取り除かれてゆく。しかしノイズが存在する場合、比較的明瞭な太い線の線集中度が低下する傾向が見られ、画像縮小を行うと、あるスケールから線集中度が急激に上昇し、明確な線として認識された。線集中度はベクトル強度を無視しているため、ノイズ強度と同様に発生頻度の影響が強くなる。太い線の場合、線をなす輝度勾配ベクトルの強度が弱くノイズによる影響が支配的になり易い傾向があり、線領域内部でベクトルの向きが大きく変化する頻度が増加しやすい。ただし、太い線の構造は大スケールにおいても残ることから、メディアン値を用いた画像縮小を用いることで容易に線検出可能となった。 このメディアン値を多重解像度画像の生成に用い、スケールごとに線集中度を求め、最大値投影することで線の太さに影響されず、ノイズに対して頑健で安定した線検出が可能となった。また、小スケールで得られる線構造から大スケールで得られる線構造を除去するスケール差分を用いることにより、任意のスケールの線構造を得ることも可能となった。また、簡便な利用方法であるが、このスケール分類を酸素飽和度計測に用いて毛細血管のなす酸素飽和度のみ検出し、領域酸素飽和度の組織別計測法も開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
線集中度の異方多重解像度解析の検討については、「輝度勾配ベクトルの生成スケール」に着目することで線検出性能の向上を確認した。 また、多重解像度解析については、簡便な方法であるがスケール分類を実現し、スケール差分による酸素飽和度の組織別計測に応用することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今回開発した多重解像度解析法はあくまでも簡便なものであり、組織別計測についても血管接続性を考慮できていない。これはスケール間の構造関係を統合する手法が不十分であり、最大値投影による統合やスケール差分だけでは限界があることを示している。 そこで、今後、今回採用した生成スケールを第4軸とする4次元オブジェクト空間を構築し、線の位置や方向のみならず、スケール変動も考慮した線追跡法の実現を検討する。 また、この追跡法を用いて抹消部への動静脈分類の検討を行い、分岐を利用した組織分類についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
4次元オブジェクト空間を用いた処理の構築には本年度導入した機材だけでは計算能力的に不十分であることが予想される。 このため、GPUのようなメニーコア演算器の導入の検討も必要となる。研究費については、このようなさらなる計算能力の向上の検討のために利用する。
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