研究課題/領域番号 |
24500550
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉永 幸靖 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 助教 (60304854)
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キーワード | 画像診断システム / 眼科学 / 分光分析 |
研究概要 |
本年度は線集中度の異方多重解像度解析で得られる4次元オブジェクト空間表現が医用画像上でどのような性質を持ち、酸素飽和度計測へ応用可能かについて検討した。線集中度のノイズによる影響は線集中度の定義式からも導き出せ、計算に用いる近傍領域内に置ける対象形状が支配的な輝度勾配ベクトルとノイズが支配的な輝度勾配ベクトルの面積比が線集中度の低下と相関があることがわかった。これはノイズを白色雑音のようなものではなく、対象とする形状と別の形状と捉えることも出来る。方向を第3軸とするオブジェクト空間では交叉する2線を方向の異なる線として別空間に分離することが可能であるが、スケールを第4軸とする4次元オブジェクト空間では、同一方向でスケールが異なる2線を分離抽出することが可能であることを示している。また、この性質は線集中ベクトル場と同様に同一空間を共有する線発散ベクトル場についてもいえる。以上の性質は眼底血管においてコレステロールなどの影響によりしばしばみられる血管表面での強い反射が血管検出に与える影響として医用画像上に現れる。血管表面での反射は血管のなす変化よりもはるかに急峻な変化であるが、線集中度の異方性多重解像度解析を使うことにより、より弱い血管形状を安定に抽出しつつ、反射領域も抽出できることを示す。これにより、背景成分推定を用いた2波長酸素飽和度計測の安定化が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管反射は眼底領域内でも非常に高輝度な領域として現れる。光路として考えると網膜色素上皮による減衰を経ずに眼底表面で反射しているため、2波長酸素飽和度計測における背景成分推定に強い悪影響を与える。本年度の検討により表面反射を除去することが可能となり、背景成分推定の安定性向上が実現できた。
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今後の研究の推進方策 |
線集中度の異方性多重解像度解析についての検討が進んだことで酸素飽和度計測の安定性向上を図ることが出来た。本年度はより多くの被験者を用いた眼底酸素飽和度計測の実験を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究に必要な計算能力を前年度購入のワークステーションの計算能力向上のための改修により補ったことで経費の削減が出来たため。 症例数を増やすに当たり、計測ソフトのインターフェースについても検討が必要となった。次年度は計測精度の向上と共にユーザーインターフェースの向上についても検討を行う。
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