昨年までに開発した技術を用いて多数症例による酸素飽和度計測の評価を行った。健常者の息止めによる酸素飽和度変化の計測実験を行ったところ、パルスオキシメータによる酸素飽和度の計測値と本手法による計測値の相関が低い例が見られた。 パルスオキシメータは動脈の酸素飽和度を計測しており、息止めでは主に動脈血の酸素飽和度の低下がみられるという医学的知見もある。本システムでは動脈だけでなく静脈に相当する酸素飽和度も計測されることから、計測アルゴリズムの見直しを行った。本システムの空間分解能では赤血球のサイズレベルでの計測が可能であることから、各画素で計測される光学密度比は各赤血球の酸素飽和度に対応すると考え、計測された画素レベルの光学密度比を動脈由来・静脈由来に分類した後に評価を行う動脈相・静脈相領域酸素飽和度計測を開発した。 実験から息止めにおいては動脈相領域酸素飽和度がパルスオキシメータと強い相関を持つことがわかった。また健常者に対する酸素付与による実験では静脈相領域酸素飽和度が強い相関を持つこともわかった。
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