研究課題/領域番号 |
24500551
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
木佐貫 彰 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20224917)
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研究分担者 |
皆越 眞一 独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター(臨床研究部), その他部局等, その他 (90190694)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | heart failure |
研究概要 |
本研究の目的は左房壁長軸方向ストレインと左室流入血流速度を用いて左房圧を推定する信頼性の高い新しい心エコー指標を見出すことである。また同時に左房壁長軸方向ストレインと従来の左室拡張能評価の指標である拡張早期左室流入血流速度波形及びその減速時間、E’と比較することにより、それらの指標の特性を検討することである。 プロトコールに則り鹿児島大学病院心臓血管内科と鹿児島医療センター第一循環器で心臓カテーテル検査の際に左房圧を計測予定であり、その24時間以内に断層心エコードプラ検査を受けた心不全患者の症例登録を進めている。平成24年度はそれぞれ40例と13例の登録を行った。 データ解析と統計解析が可能であった15例においてスペックルトラッキング解析を行左房壁のストレインやその他の心エコー指標を計測した。左房壁ストレインの指標として拡張早期の左房最大ストレイン(Max LA-S)と心房収縮による左房ストレイン(P LA-S)の指標を求めた。 現在左房圧の非観血的方法で最も良く使用されているE/E’ (拡張早期左室流入血流速度/拡張早期僧帽弁輪運動速度)、E’単独、E/Max LA-S、Max LA-S単独、P LA-Sと心臓カテーテル検査による左房圧との相関を検討した。その結果左房圧とE/Max LA-Sは有意な正相関(p=0.026)、P LA-Sは有意な負相関(p<0.0001)を示した。一方E/E’単独、Max LA-S、E’単独の指標と左房圧との間には有意な相関関係はみられなかった。 これらの結果は従来の組織ドプラによる指標よりも左房ストレインを使用して求めた指標の方がより正確に左房圧を推定できる可能性を示唆しており、本研究の仮説が正しいことを示唆するデータであると判断している。しかし症例数が少ないために、本研究の目的を満足させるだけの症例数に到達していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カテーテル検査による左房圧の計測は順調に進んでおり症例登録は順調に進んでいる。しかし心エコー解析が予定通り進んでいないので、予定の50%程度の進捗状況である。 その理由として心エコー検査はルーチン検査の一環として行われた検査の画像を解析するため、左房全体の画像が記録されていなかったり、スペックルトラッキング解析に耐えうる程明瞭な画像が記録されていない症例があり、データの蓄積に時間がかかっている。また研究代表者の木佐貫が多忙であり、研究に十分な時間を割くのが困難になっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の問題点を解決するために、平成25年度から新規の研究協力者(連携研究者)として、鹿児島大学病院・臨床技術部・検査部門の湯ノ上真吾技師と水上尚子技師を加えることにした。この二人の研究協力者に鹿児島大学病院における質の高い心エコー検査の記録をお願いする。画像解析は湯ノ上真吾技師が担当する。研究協力者を新規に追加し、マンパワーを増強することにより、データ蓄積のスピードアップを図りたい。 鹿児島大学病院での左房圧の評価は前年度と同様に内匠拓朗医師に研究協力者(連携研究者)をお願いする。研究代表者の木佐貫はデータの統計解析や解釈、まだ問題が生じた際の解決にあたって努力する。 鹿児島医療センターでは左房圧の評価は前年度と同様には病態生理研究室長の片岡哲郎医師に研究協力者(連携研究者)をお願いして症例を登録する。心エコー検査は同病院の検査技師、画像解析とデータ解析は研究代表者の木佐貫が行う。研究分担者の皆越眞一は鹿児島医療センターでの研究がスムーズにいくように目を配り、問題が生じたら解決に当たる。また研究全般に関して目を配る。このような体制で今年度は症例をさらに増やしてデータ解析・統計解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
直接経費の内24万円を鹿児島医療センターに配分し、主に物品費として使用する。 直接経費の96万円は鹿児島大学にて使用し、研究代表者の旅費(30万円)、物品費(26万円)、研究協力者の旅費(10万円)、物品費(30万円)として使用する。 次年度使用額(B-A)が30万円あり、鹿児島医療センターで物品費として使用する。
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