研究課題/領域番号 |
24500551
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
木佐貫 彰 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20224917)
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研究分担者 |
皆越 眞一 独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター(臨床研究部), 医歯学総合病院, 統括診療部長 (90190694)
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キーワード | 肺動脈楔入圧 / 心エコードプラ法 / 二次元スペックルトラッキング |
研究概要 |
平成25年度末で解析を終了した症例は41例であった。その結果は以下の通りであった。 左房Global Longitudinal Strain(GLS)を用いて左房圧推定が可能であるとの仮説を立て、従来法と比較した。対象は各種心疾患計41例。左室駆出率の平均は49±17% (range 12-74%)であった。心臓カテーテル検査を行い平均肺動脈楔入圧(PCWP)の測定を行い、24時間以内にドプラ心エコー検査を行った。心エコー法の心尖部四腔断面より左房全体を描出し、左房GLSを求め、収縮末期の最大左房GLS, 心房収縮期左房GLSを計測した。左室流入血流速度波形より拡張早期と心房収縮期の速度 (E, A)、Eの減速時間、E/Aを求めた。僧帽弁輪組織ドプラより拡張早期と心房収縮期の速度(E’, A’)、E’の減速時間、E/E’を求めた。Eを最大左房GLSで除してE/GLSを算出した。 【結果】PCWPの平均は10±5 mmHg (range 2-28 mmHg)であった。単回帰分析でPCWPと有意な正相関を示した指標は、E/GLS(r=0.654)、E/E’(r=0.435)、E(r=0.493)、E/A(r=0.658)であった。有意な負相関を示したものは最大左房GLS(r=-0.365)、心房収縮期左房GLS(r=-0.485)、 A(r=0.349)、A’(r=-0.435)であった。これらの指標に対してステップワイズ重回帰分析を行ったところE/GLSとE/Aが独立したPCWPの規定因子として採択された。PCWP 15 mmHg以上を予測する診断精度はE/GLSが3.4以上で感度 80%、特異度 74%(AUC=0.80)、E/Aが0.8以上で感度 80%、特異度 61%(AUC=0.81)であった。左房ストレインより求めたE/GLSは左房圧推定に有用な指標として期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度末の目標症例数は収縮不全群100例、拡張不全群100例であるが平成25年末で41例と少ない。症例登録はカテーテル検査により左房圧の計測を行った症例が基になる。カテーテル検査は鹿児島大学病院では内匠拓朗医師に研究協力者(連携研究者)としてお願いしている。鹿児島医療センターでは病態生理研究室長の片岡哲郎医師に協力して頂いている。平成26年度はさらに症例登録を進めるようにしたい。 心エコーの解析は研究協力者(連携研究者)として、鹿児島大学病院・臨床技術部・検査部門の湯ノ上真吾技師と水上尚子技師に加わっていただき、順調に行われている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進に際し重要なことは症例登録である。現在症例登録も計画通りに運んでおり、症例登録のスピードをあげることは困難である。平成26年度中に症例登録が目標に到達しない場合には、研究を延長してでも目標症例数に到達することが大切であると考えている。 解析の方法も二次元スペックルトラッキング解析による左房ストレインに加え左房の動きを断層心エコーを用いてもう少し簡便に評価できる方法も加えてみたい。 現在分担研究者、研究研究協力者(連携研究者)との連携は順調に進んでいるのであとは目標症例数に到達することと、解析方法に断層心エコーを用いて左房の動きを評価する簡便な方法を追加することの2つが今後の推進方策として重要となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
対象となる症例登録が予定より少なく、研究計画の進行に影響が出たため。 直接経費の内25万円を鹿児島医療センターに配分し、主に物品費として使用して頂く。 残りの未使用額は鹿児島大学にて物品費・学会発表のための旅費として使用する予定である。
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