研究課題/領域番号 |
24500551
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
木佐貫 彰 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20224917)
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研究分担者 |
皆越 眞一 独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター(臨床研究部), その他部局等, その他 (90190694) [辞退]
片岡 哲郎 独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター(臨床研究部), 医歯学総合病院, 病態生理研究室長 (70457662)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肺動脈楔入圧 / 心エコードプラ法 / 二次元スペックルトラッキング |
研究実績の概要 |
【課題と目的】左房Global Longitudinal Strainを用いた左房圧推定。左房Global Longitudinal Strain(GLS)を応用して左房圧推定が可能であるとの仮説を立てた。さらに左室の収縮能障害群(I群)と保持群(II群)においても推定可能か検討した。【方法】対象は洞調律の心疾患67例で、I群 34例とII群 33例の2群に分けた。平均年齢68±12歳。平均肺動脈楔入圧(PCWP)の測定を行った。心エコー検査により左房GLSを求め、収縮末期の最大GLS (Max-GLS)と心房収縮期のGLS(P-GLS)を計測した。拡張早期と心房収縮期の左室流入血流速度(E, A)とE/A、僧帽弁輪運動速度(E’, A’)、E/E’を求めた。Eを左房Max-GLSで除してE/Max-GLSを求めた。【結果】単回帰分析でPCWPと有意な正相関を示した指標は、E/Max-GLS(R2=0.50)、E/A(R2=0.45)、E/E’(R2=0.29)、E(R2=0.20)であった。有意な負相関を示したものはMax-GLS (R2=0.28)、P-GLS(R2=0.38)、 A(R2=0.26)、A’( R2=0.33)であった。E/Max-GLSはステップワイズ重回帰分析で採択された。2群に分けてPCWPとE/Max-GLS との正相関を比較すると、I群ではR2=0.58 (p<0.0001)、II群ではR2=0.21(p<0.007)で、相関はI群の方が強かった。PCWP 15 mmHg以上を予測する精度は、I群ではE/Max-GLS >6.1で感度75%、特異度100%、II群ではE/Max-GLS >3.4で感度71%、特異度88%であった。【総括】E/Max-GLSは従来法よりも左房圧推定に有用であり、収縮能障害群において精度が高いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心臓カテーテル検査の際に肺動脈楔入圧を計測する症例は鹿児島大学病院と鹿児島医療センターの2施設で集めているが、思ったほど多くないので、症例登録が進んでいない。 心臓カテーテル検査を行う症例の一部の症例で肺動脈楔入圧は計測されるので、時間をかけて症例登録を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度で本研究は終了の予定であったが、症例登録数を増やすために、補助事業機関延長を申請し、承認していただいた。残りの1年は施設を鹿児島大学病院のみに限定して、肺動脈楔入圧を計測した症例をもれのないようにチェックし、登録したい。 興味ある結果が出つつあるので、研究協力者(連携研究者)にも本研究の意義をよく理解していただき、残り1年しっかりやりたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成25年度、26年度と保健学科長として学科の管理を行っている。業務になれないこともあり、研究に時間を割くことが十分にできなかった。このため、関連する学会に参加して最新の情報収集を行う機会をつくることが不十分であった。また、物品や書籍等の購入に関しても計画をたてることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は本研究課題の最終年度である。年度初めから執行計画をしっかり立てて、研究の結果を出し、論文作成への道筋を立てたい。研究代表者と研究協力者の間で計画的に執行していきたい。具体的には情報収集のための、学会などへの出張旅費、学会参加費、物品費などにあてて、成果を発表し、論文作成につなげたい。
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