研究課題/領域番号 |
24500555
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
槌谷 和義 東海大学, 工学部, 准教授 (50399086)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | pHセンサ / 細胞 |
研究概要 |
様々な工業界にて使用されているpH センサは,巨視的環境でのいわばビーカー等のマクロな平均値としてのpH観察のみ測定可能であった.しかし科学の進歩により,化学反応等の微視的なin-situのpH変化観察が急務となった現在でも,既存のpHセンサは,Ag/AgCl電極がKCl溶液中に浸漬されたガラス管構造を有するガラス電極が主流であることから,その要求に応えるすべが存在しないことが新たな課題として浮き彫りとなった. そこで本研究では,蚊の口並みの極細管開発で培った極細管創製技術を用いて,外径50μm以下の見かけ上1電極である「新しい微小領域pHセンサの開発」を目的とする.今年度は外径50μm以下の「新しい極微小領域pHセンサ」の開発を目的とし,(1) 固体Ag/AgIO3電極およびSb/Sb2O3を,見かけ上1電極として,その有効性の確認を行う. (2) 蚊の口並みの極細管の開発で培った極細管創製技術を用いて,AgとSiO2の薄膜の剥離を防止するために生体適合性,熱膨張率,電気抵抗率を考慮したバッファ層の選定とその成膜条件の探索を行った. その結果,Sb/Sb2O3を,見かけ上1電極とした場合,出力電圧とpH標準液との間に高い相関性を確認した.またRFマグネトロンスパッタリング法で成膜した結果,Tiがバッファ層材料として有効であることをFIB-SEM観察により確認した.同センサは,細胞内での化学反応等の微視的なin-situの極微小領域pH変化の連続モニタリング測定を可能にする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では,同研究の原理の追従に時間を要するであろうとの想定で研究を推定していた.しかし,原理の確立と実施例を示すことができるデータを十分蓄積することができたことから,特許の申請を行うことができた.従って,当初の計画以上に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
二年目の目的としては,「センサ加工法」で,特に「極細管上への電極配置に関する研究」を課題として取り上げる.具体的には,(a) センサ用中空管の開発,(b)電極およびセンサの最適化,を取り上げ,特に,MEMS技術により極細管表面にIrあるいはAu電極の三次元成膜を行い,極細管上への電極配置について研究を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
IrあるいはAu電極の三次元成膜を行い,極細管上への電極配置について研究を行うことから,スパッタリングターゲット,エッチング溶液等の消耗品の購入を考えている.また研究成果の外部発表を積極的に行いたいと考えている.また「平成24年度から平成25年度へ助成金の繰越が発生した理由」としては,消耗品の購入予定金額より安価であったため,現在進行中である「センサの高機能化」への消耗品に充填することで,さらなる研究進捗の遂行を考えている.
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