研究課題/領域番号 |
24500555
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
槌谷 和義 東海大学, 工学部, 教授 (50399086)
|
キーワード | pH |
研究概要 |
既存のpHセンサは0.05 mm程度のガラス薄膜,ガラス電極,比較電極の二つの内部電極などが必要であるために大型であり,ビーカ内の試料全体のマクロなpHを測定している.そのため,約10-30 μmの大きさである細胞などのミクロのpHを測定するためにはμmサイズまで小型化したpHセンサが必要である. 本研究では,蚊の口並みの極細管開発で培った極細管創製技術を用いて,外径50μm以下の見かけ上1電極である「新しい微小領域pHセンサの開発」を目的とする. 今年度は外径50μm以下の「新しい極微小領域pHセンサ」の開発を目的とし,RFマグネトロンスパッタリング法を用いて,極細銅基材上にターゲット材である固体Ag/AgIO3電極およびSb/Sb2O3を成膜した.特に直径50 μmの銅線上にSb2O3薄膜,SiO2薄膜,Ag/AgIO3薄膜を成膜することでマイクロpHセンサの創製を行い,見かけ上1電極となるpHセンサを作製した.また,創製したpHセンサを用いて校正実験を行うことでpHと電圧の関係性の確認を行った. その結果,4種類の標準pH溶液を用いた校正実験の結果より高い相関性を確認し,その場合の決定係数は0.98を示した.それ故,創製した新たなpHセンサを用いて安定したpH測定が可能であることを確認した.今後は,マイクロpHセンサの表面積が測定結果に与える影響の確認し,マイクロpHセンサの先端形状の加工手法の確立が課題となる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
見かけ上1電極となるpHセンサを作製し,その有効性の確認が取れたことから,申請時の計画通り進捗していると考える.
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度の目的としては,「センサ機能評価」で,特に「pH の変化を利用した精度に関するセンサ評価」を課題として取り上げる.具体的には,マイクロマニピュレータにより位置を制御し,センサと細胞との間の極微小領域でのpH 変化を連続モニタリングおよびin-situ測定することで,開発したセンサの評価を行う.
|
次年度の研究費の使用計画 |
本pHセンサの測定原理として,今年度までは定電流回路として見なして同センサの設計開発を行ってきた.しかし高精度測定を視野に入れた場合,研究進捗にともない新たな測定原理の構築の可能性が徐々にわかってきた.したがって新たな測定原理を明らかにした上での新規測定システム構築を目的とした予算の配算が必要となったため. センサ機能評価より,さらなる同センサの高精度測定の実現に向け,電極間の電気抵抗と面積の関連性,さらには測定原理の見直しにより,スパッタリングターゲット,および高精度な電流計,エッチング溶液等の消耗品の購入を考えている.また研究成果の外部発表を積極的に行いたいと考えている.
|