研究課題/領域番号 |
24500556
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
服部 麻木 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90312024)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 手術ナビゲーション / コンピュータ外科学 |
研究概要 |
平成24年度の実施計画である臓器表面形状計測システムの開発については、ナビゲーションで術野画像の撮影に用いる予定の短軸の立体硬性鏡の画像を用い、得られる左右一対の術野画像から術野の三次元表面形状を計測するシステムの試作を行なった。試作したシステムにより撮影した領域を色情報を持った三次元形状として2 frame/sec程度で得られるようになった。しかし領域中にハイライトの部分が多く存在するとその部分の形状が欠損する場合があり、無影灯照射下の開腹手術では形状の取得が困難になるケースが考えられるため、術野へのマーカーの設置や幾何学パターンの術野への投影など、高輝度の照明の影響を受けにくい計測手法により改良を行なっていく必要があると考える。また形状取得のフレーム数についても処理の並列化等を行なうことにより速度の向上を図っていく必要がある。 術野表面形状に応じた臓器モデルと内部構造モデル変形手法の開発については、われわれが手術シミュレーションシステムの開発で用いてきたSphere filled modelを適用して臓器表面形状の変化に追従する臓器モデルの試作を行なった。10 frame/sec前後で変形を行なうことができたが、実際の手術での術野の状況を考えた場合、計測される術野表面形状と臓器モデルの間で同じ領域を常に対応づけることが難しいと思われるため、前述した術野へのマーカーの設置等により、表面形状と臓器モデルでの対応付けを行なっていく必要があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に計画していた臓器表面形状計測システム、および術野表面形状に応じた臓器モデルと内部構造モデル変形手法の開発、いずれも基本的な手法の構築はできたと考えている。ただし、実際の術場への適用を考えた場合、その適用が困難になる状況が想定されるため、ファントムや摘出臓器などを用いた実験を行なうことにより問題点の克服を行なっていきたいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度については、研究実績の概要でも述べた実際の術場環境で想定される問題点を克服するために術野へのマーカーの設置や幾何学パターンの投影などにより術野の照明条件等の影響を受けにくい表面形状の計測手法、および表面形状と臓器モデルでの対応付けが可能な手法の開発を行なっていきたいと考える。これらの開発で必要な実験は、実際の手術室とほぼ同じ機器類を備えるロボット手術実験室でファントムや摘出臓器を用いて行ない、開発を迅速に行なっていきたいと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度はファントムや摘出臓器を用いた実験が多くなると考えられるため、実験に必要なファントムの作成や摘出臓器の購入に研究費の使用が多くなると考えている。また、臓器表面形状の計測を行なうにあたって術場の環境に影響を受けにくいマーカーの開発や術野への幾何学パターン投影のための機器への支出も想定している。さらに実験結果保存のためのメディア(HDD, SDカードなど)やナビゲーションで必要となるコンピュータの周辺機器(フットスイッチ,映像用ケーブルなど)の物品費としての使用を計画している。
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