研究課題/領域番号 |
24500556
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
服部 麻木 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90312024)
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キーワード | 手術ナビゲーション / 臓器形状計測 / 臓器変形モデル |
研究概要 |
平成25年度は、昨年度までに行なってきた臓器表面形状計測と臓器モデルの変形手法の開発について、実際の術場に適用しやすい手法の開発を継続して行なった。臓器表面形状計測については、赤外の幾何学パターンを対象物に照射して表面形状を計測する民生機を用い、摘出臓器において表面形状の計測を試みた。昨年度試作したステレオ画像から表面形状を計測する手法と比べて、肝臓のような表面テクスチャに特徴の少ない臓器においても欠損が少ない表面形状を色情報とともに得ることができた。また形状取得のフレームレートについても、これまでよりも高速に取得できるようになった。使用した民生機は安価であり、同時に複数台の使用も可能であることから、多視点からの計測による、より死角の少ない臓器形状の計測が可能であると考える。 臓器モデルの変形手法については、CGアニメーション等に用いられているスキニングを応用し、臓器モデル内に仮想の関節リンクモデルを設置し、関節リンクの変形に伴って臓器モデルの変形を行なう手法の開発を行なった。昨年度開発を行なったSphere filled modelよりも少ない構成要素を基にした変形が行なえることと、変形の演算にGPUを用いることで、高速なモデルの変形を行なうことが可能になった。変形のベースとなる構成要素が少なくなったことで、物理的に生じうる全ての臓器変形に対応することは難しいが、術中のナビゲーションが必要とされる状況における変形に限定した関節リンクモデルの設置パターンを検討していきたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の開発により、これまでよりも実際の術場環境の影響を受けにくい臓器表面形状計測と、高速な臓器モデル変形を行なうことができるようになったと考える。特に臓器表面形状計測のフレームレートが向上したことにより、臓器のどの領域が変形したのかを追跡しやすくなったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、研究実績の概要で述べた表面形状計測装置を複数台用い、多視点からの死角の少ない表面形状計測を行なえるようにするとともに、術中ナビゲーションに適した臓器モデル内の関節リンクモデル設置パターンを検討し、その関節リンクモデルと計測した表面形状とを対応付けし、表面形状の変化に応じた臓器モデルの変形が可能なシステムの開発を行なっていきたいと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、臓器表面形状計測、および臓器モデル変形のためのプログラム開発が中心となり、ファントムや摘出臓器を用いた実験が当初想定していたより回数が少なく、ファントム作成用材料や摘出臓器の購入に計上していた分が次年度使用額として生じた 平成26年度は本研究課題の最終年度となるため、ナビゲーションシステムとして完成させるためのコンピュータの周辺機器(ケーブル、スイッチなど)やナビゲーション画像保存のためのメディア(HDD, DVなど)への使用と、システム検証実験のためのファントム作成用材料や摘出臓器購入のための使用などを計画している
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