研究課題/領域番号 |
24500558
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
武田 朴 早稲田大学, 理工学術院, その他 (40583993)
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研究分担者 |
加藤 洋 東京工科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20010473)
南 順子 東京工科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (30587655)
日向 奈惠 東京工科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80587668)
志水 美文(下村美文) 東京工科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (30396759)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | DNAヒストグラム / FFT / 規格化 |
研究実績の概要 |
癌組織と正常組織の病理標本を症例数にして150例強、標本数にして400個弱製作した。標本は分担研究者日向が保管している。 DNAヒストグラムについては、振幅とピーク位置を規格化しFFTを用いて空間周波数パワースペクトル分布を測定し、パワースペクトル分布の Area Under the curve (AUC), 振動回数(OSC)、最大傾斜(Slope)、および規格化ヒストグラムをDebris、G0/G1、S、G2/M、OverG2/Mの5個の領域に領域分けし、それぞれの積分値を求めた。普通行われるのG0/G1領域はdeploidyを示すヒストグラムのG0/G1領域とするが、我々はpseud aneuploidyがある領域を含めてG0/G1領域と設定する事により、S領域に対するpseud aneuploidy の影響を除いて分析した。得られた8つのパラメータを2次元のスキャッタグラム、三つの統計手法(NeuralNet Support vector Machine, Tree)を用いて分析した結果 SlopeとS領域の積分値を用いると感度特異度とも90%を超えた鑑別能力をもち、Treeを用いた場合がんを100%がんと、正常を100正常とする様にS領域積分値とSlopeについて閾値を決めたとき、90%の症例について正しく分類し、10%の症例については分類不能であった。この成績は診断支援の目的には十分な性能と考えられる。この成果については生体医工学(生体医工学会論文誌)に投稿し採択された。また、作成した病理標本のうちビメンチン(非上皮細胞)とLPC(炎症細胞)の比率はがんと関連があるという感覚を得ているこれについて医療機器学会に報告した。27年度は領域法とFFTを組み合わせるなどして大腸以外の臓器に対する鑑別能力とビメンチン陽性およびLPC陽性細胞比率に関する研究を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
組織所見とDNAヒストグラムのデータを比較すると、正常細胞のG0/G1期の細胞数比率が異なっているように見える。この点についての説明が本研究の妥当性を主張する上で必要と考え、当初の予定に含まれていない、ビメンチン陽性、LPC陽性などの細胞比率の予備的研究を実施した。論文投稿後に英文要約の英文について査読者意見とのやりとりがあり英文の校正に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者である武田の受け持つ講義のコマ数が今年は半減するので、講義の準備などに要する時間が減るので、この時間を研究の加速に充てる。 大腸がんについての解析対象症例を200例以上にする。胃がん、肝がんに関する同様な研究を実施する。また、ビメンチン陽性、LPC陽性細胞数比率に関す検討も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度に海外学会出張を予定していたが、国家試験対策のため、やむなく中止した。その分の費用が残り次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
26年度において、予定していた企業からの補助金でまかなう予定のソフトウエアの維持費用が、企業からの補助金が得られなかったため不足した。不足は他の研究費でまかなったが、今年度は自己負担する必要があり15万円程度が必要となる。従って、海外学会における発表は可能であれば他の研究費でまかない、残った額は国内における出張旅費あるいは消耗品の購入に充てる。
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