研究課題/領域番号 |
24500559
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
中岡 一敏 鶴見大学, 歯学部, 講師 (50298262)
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キーワード | 有限要素法 / 4次元咀嚼筋解析 / 咀嚼筋腱・腱膜過形成症 |
研究概要 |
下顎が著しく張り出した顔貌と無痛性開口障害を特徴とする咀嚼筋腱・腱膜過形成症に対して、医用工学技術を応用した咀嚼筋の病態モデルを構築するとともに術前後のデータ解析から病態解明を試みてきた。その結果、主原因の咀嚼筋の同定とこれに従った外科療法により、開口制限は著明に改善され、良好な治療結果が得られてきた。 ところで、顎運動により顎顔面に生じる応力状態と顎骨形態には相関があると言われ、咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者における特異な下顎運動により顎骨に作用する筋の牽引力の他、持続的な咬合力、下顎頭反力などの力学状態は、特徴的な下顎骨形態の形成に大きな影響を与えていると考えられる。そこで今回は、本疾患患者のCTデータから個体別の有限要素モデルを作成し、さらに患者の下顎運動データを統合することで、適切な力学条件が設定された有限要素モデルにおいて下顎骨体に生じる応力状態を探り、応力メカニズムと病態成因について言及する。 平成24年度では、咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者8名とコントロールである健常者2名の個体別3次元モデルと咀嚼筋モデルの構築まで終了し、平成25年度は、本研究で使用予定の有限要素解析ソフトウエアの開発が終了した。現在、これらを用いた個体別の有限要素モデル作成と解析を進めているが、本解析システムが適用できた疾患症例では、開閉口時の最大主応力が筋突起部と下顎角に集中していることが確認されており、本疾患に特徴的な下顎骨過形成部位と合致しており、興味深い結果が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24、25年度は、健常者と咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者における4次元解析システムの適用まで行うことができた。また、有限要素解析ソフトウエアの開発が終了し、数名の疾患患者に対し、本システムの適用を行ったところ、非常に興味深い結果が得られた。しかしながら、先の咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者において、有限要素解析を適用するにあたり、臨床データが不十分な症例もあるため、新規患者による臨床データを追加採得中である。また、現在、開発した有限要素解析ソフトによるデータ解析の際の詳細なデータ入力の妥当性の追加検討を行っている。 有限要素解析については、取得された3次元画像情報と4次元解析システム情報を組み入れた、顎運動時の下顎に伝達する応力分布を、Finite Element Method を用いて解析可能な基盤ソフトウェアの開発を行った。 本解析システムが適用できた咀嚼筋腱・腱膜過形成症の症例では、咬合時の最大主応力は筋突起から外斜線付近に集中し、応力値は低いが下顎角にも集中が見られた。最小主応力は大臼歯部、下顎枝遠心側に集中していた。開口時の最大主応力はオトガイ付近と筋突起部、下顎角部に集中していたが、咬合時に比べると応力値は小さい値とであった。開口時の最小主応力は筋突起に集中していた。ミーゼス応力を観察すると、咬合時は下顎枝遠心側と筋突起部、開口時は筋突起部に応力集中が見られた。本氏疾患のスクエア・シェイプド・マンディブルに特徴的な張り出した顎角部と、骨肥大が認められる筋突起に応力の集中が確認された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、上記手法を咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者に追加適用し、データを蓄積するとともに、各種咀嚼筋の動作異常、下顎骨への応力解析結果について検証を進める。そしてさらに、 データー解析、評価より得られた診断、治療方針に従い実際に手術を実際に施行するとともに、術前後の解析結果と術後の治療効果判定、患者と健常者との比較検討により、本疾患の成因、病態について言及していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は、研究対象である咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者の来院が少なく、データ採取、解析に関連する経費が少なかったことが大きな原因である。 研究対象である咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者の来院が、増えてきたことから、新規で臨床データの採取と解析に関連する経費が発生することが予想される。 持ち越しの研究費については、これらのデータ採取と解析に関連する消耗品費用と次年度における研究成果発表のための経費が主な使用内訳となる。
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