研究課題/領域番号 |
24500560
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
重田 優子 鶴見大学, 歯学部, 講師 (40367298)
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研究分担者 |
安藤 栄里子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (30410046)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 睡眠時無呼吸症候群 |
研究概要 |
本研究は,睡眠時無呼吸症候群(OSA)患者の舌の組成(脂肪含有率)を,近赤外分光分析計を用いて,簡便かつ非侵襲的に測定し,OSA発現のメカニズムの解明や治療法に役立てることを目的としている. 以前の研究結果から,舌の体積はBMIの増加に伴い増加し,舌/下顎骨比の増加に伴い気道容量が減少することが明らかになった.すなわち,舌の体積変化がOSAの発現に関連していることが考えられた.しかし,舌の体積増加の詳細は明らかでなく,OSA発現のメカニズムの解明や治療に役立てるためには舌の組成を知る必要がある.そこで,近赤外分光分析計を用いて,舌の組成を検討することとした. 昨年度は,男性ボランティアを用いて,年齢,および,体組成計の計測値(体重・体脂肪率・内臓脂肪率・BMI・皮下脂肪率・骨格筋率)と,近赤外分光計で計測した上腕および舌の脂肪率の関係について検討した. 被験者は,25~69歳(平均±SD: 41±11.1)歳の男性18名で,BMIは,19.2~33.2 (平均±SD: 25±3.7)kg/m2であった.体組成は,メーカー指示に従いKarada Scan(OMURON, Kyoto, Japan)を用いて,上腕および舌の脂肪率は,近赤外分光計FITNESS ANALYZER BFT-3000(Kett Electric Laboratory, Tokyo, Japan)を用い計測した.近赤外分光計の計測点は,測定器付属のジグを用いて上腕二頭筋の中央,熱収縮チューブを用いて作製したジグを用いて舌尖より20mmの舌背部に設定した. 体組成計の体脂肪率と,近赤外分光計で計測された上腕脂肪率の間には,有意な正の相関関係が認められ(R2=.85),近赤外分光計の有用性が示唆された. 舌脂肪率は,年齢の増加に伴い有意に増加した.その関係は,偏相関により,BMIの影響を除外後も認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人体に適応可能な近赤外分光分析計を入手することにより,波長の検討が不要となったため,順調に進展していると思われる.また,熱収縮チューブを用いた舌用ジグを作製することにより,計測位置・舌位を規定できたため,ヒトを対象とした予備的検討を行うことができた.しかし,血流や温度の影響については検討できていないため,日内変動・日差間変動などを観察し,計測条件を詳細に設定する必要があると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度以降,引き続き,ボランティアを対象とした検討を進めていきたいと考えている.その中で,未解決事項である血流や温度の影響について,日内変動・日差間変動などを観察し,計測条件を詳細に設定することにより対応していきたいと考えている.データ採取の際には,患者およびボランティアからはインフォームドコンセントを得た後に研究を開始し,いつでも研究への参加を撤回できるように配慮する.さらに研究データは個人名を特定できないようにし,データへのアクセスは研究者のみとなるように制限をかける.
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次年度の研究費の使用計画 |
舌の加齢変化・脂肪化については1987年にBasslerらによる報告があるものの,舌の組成や加齢変化,体組成との関係を報告した研究は少ないため,本研究成果については,関連学会学術大会・雑誌等での発表を予定している.また研究の遂行に必要な消耗品や解析ソフトなどを購入する.平成24年度に購入予定であった近赤外分光計を,人体対応の機種に変更したため,残額が生じた.残額に関しては,ジグの作製,成果の発表等,本年度以降の研究に使用する予定である.
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