研究実績の概要 |
平成24年度の報告において、本研究で使用している近赤外分光分析計の有用性、および、正常ボランティアにおいて、舌脂肪率が加齢により増加する傾向があることを報告した。 平成25年度は、閉塞性無呼吸症候群の患者のデータを加え、年齢・体組成と舌脂肪率の関係、さらに、無呼吸の重症度と舌脂肪率との関係について検討を開始し、無呼吸患者は、肥満に伴い、舌に脂肪が沈着しやすい体質であることが示唆されたことを報告した。 平成26年度は、サンプル数を増やし、昨年度と同様の検討を行った。対象は、無呼吸患者45名(男性34名、女性11名)、正常ボランティア17名であった。体組成は,メーカー指示に従いKarada Scan(OMURON, Kyoto, Japan)を用いて,上腕および舌の脂肪率は,近赤外分光分析計 FITNESS ANALYZER BFT-3000(Kett Electric Laboratory, Tokyo, Japan)を用い計測した.近赤外分光分析計の計測点は,測定器付属のジグを用いて上腕二頭筋の中央,熱収縮チューブを用いて作製したジグを用いて舌尖より20mmの舌背部に設定した.無呼吸の重症度については、終夜ポリソムノグラフ検査の結果から、Apnea Hypoapnea Index (AHI)を求め、その値を用いて評価した。 全被験者群およびボランティア群において、舌脂肪と年齢との間に関連性が認められた。ボランティア群では、体脂肪率と舌脂肪の間に関連性は認められなかったが、無呼吸群では、関連性が認められた。また、女性無呼吸群では、舌脂肪と無呼吸の重症度の間に関連性が認められた。 本研究の結果、舌脂肪の沈着は、年齢や体脂肪率と関係しており、女性では、無呼吸の重症度に関係することが示唆された。
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