研究課題/領域番号 |
24500561
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
渡辺 好章 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (60148377)
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研究分担者 |
秋山 いわき 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (80192912)
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キーワード | 非線形振動 / 2ビーム交差方式 / 和音 / 音響放射力 / 粘性 / 音圧 / グリセリン水溶液 |
研究概要 |
本研究は超音波造影剤であるマイクロバブルの非線形振動を利用して、2周波数2ビーム交差方式のパルスドプラ血流計測法の有効性について実験を行って検討を行うことを目的としている。本手法の特徴は、従来のパルスドプラ法の難しかった流速度ベクトルの測定が可能となる点であり、本年度はシリコンチューブ中にマイクロバブルを含む脱気水を流して、速度ベクトル計測法の検討を行った。昨年度の研究によって、超音波照射による音響放射力に起因した速度変化の影響が無視できないことを確認している。そこで、今年度は音圧を変化させながら、ドプラ周波数と流速との関係を調査した。その結果、音圧が大きくなるとドプラ周波数は高くなり、粘性の高いグリセリン水溶液を流路に流した場合では、ドプラ周波数は水の場合より低くなった。これらのことからマイクロバブルが受ける超音波の音響放射力の影響は低い音圧と高い粘性によって抑制されることが明らかとなった。そこで、血液と同程度の粘度を有するグリセリン水溶液を作成して、それを流路に流して、マイクロバブルの非線形振動による和音のドプラ周波数と流速との関係を調査した。その結果、音圧が70kPa以下では音響放射力の影響は小さいことがわかった。そのため、音圧を70kPa以下に設定して、ドプラ周波数と流速および超音波とのなす角度との関係を調べたところ、理論式で与えられる結果と一致した。したがって、本手法によって速度ベクトル測定の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では1つの送受信系と2つの送信系で構成する実験システムを構築することになっているが、1つの送信系による実験システムとなっているため。1つの送信系による実験結果では高粘度低温圧条件で理論値と一致しているので、基本的には本手法の妥当性を示唆している。
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今後の研究の推進方策 |
当初研究計画通り、1つの送受信系と2つの送信系で構築される実験システムによって流路の速度ベクトルを測定する。また、2つのビーム交差角度が90度でない場合についての検討を行う。これらの実験的な検討によって、本手法の有効性を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度の研究によってマイクロバブルからのエコーによって流速を測定するためには、音響放射力の影響を無視できないことが明らかとなったため、当初計画で構築予定だった送受信1系統、送信2系統の実験システムを送信1系統に据え置きいた。そのため、送信1系統分の設備費を平成26年度に繰り越すこととした。 当初計画で初年度に実験予定だった送受信I系統、送信2系統の実験システムを構築して流路における3次元的な速度ベクトル計測を行う。実験では、測定可能な流速範囲、測定精度を明らかにする。また、2つのビーム交差角度が90度でない場合の補正についても実験によって検討する。
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