研究課題/領域番号 |
24500567
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
生駒 一憲 北海道大学, 大学病院, 教授 (70202918)
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研究分担者 |
牧野 均 北海道文教大学, 人間科学部, 准教授 (10583924)
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キーワード | ミラーセラピー / 筋電駆動型電気刺激 / 運動観察 / 運動錯覚 / ミラーニューロン |
研究概要 |
1. 健常若年者に対する鏡による視覚入力と電気刺激による求心性フィードバックの効果 機能的近赤外線スペクトロスコピー装置(fNIRS)を用い、若年者における効果を検証した。fNIRS研究では、計測プローブのセッティングにおける妥当性について問題となっている。そのため、本研究では全被験者のMRIを撮像し、Fusion software (Shimadzu)を用い、プローブの位置と個人脳を重ね合わせることで妥当性の問題を解消した。この研究では、一側上肢を動かしながら、その運動の鏡像を観察することで、運動肢と同側感覚野が賦活した。また、筋電駆動型電気刺激装置を用い、両側の運動を可能にした上で、一側上肢の動きと鏡像を観察した場合、運動肢と同側運動野、縁上回が賦活した。この結果から、鏡像の観察が運動観察の効果を惹起し、ETESを組み合わせることで運動観察の効果と運動錯覚の効果を惹起すると考えられる。鏡像の観察と電気刺激による求心性効果が互いに干渉せず、相乗効果を引き起こした。視覚入力とそれに同期した求心性入力が脳に与える影響について重要な知見を示した。 2. 健常高齢者に対する鏡による視覚入力と電気刺激による求心性フィードバックの効果 上記の研究と同じ方法で、高齢者における効果を検証した。その結果、鏡像の観察と電気刺激を組み合わせた場合、運動肢と同側の脳半球で感覚野、運動野、縁上回、角回、上側頭回、中前頭回、中後頭回が賦活した。この結果は、下前頭回、縁上回、上側頭回に存在するミラーニューロンシステムの関与を示唆する。また、若年者より固有感覚機能が低下した高齢者の場合、鏡像の観察と電気刺激を組み合わせることで、運動観察と運動錯覚の効果が増大すると考えられる。このことは、健常者より固有感覚機能が低下した脳卒中患者において運動観察と運動錯覚の効果をさらに増大させることを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調ではあるが,脳卒中患者の症例数が十分ではなく健常高齢者での効果検証にとどまっているところがややもの足りない.
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今後の研究の推進方策 |
脳卒中患者に対する鏡からの視覚入力と電気刺激による求心性入力が大脳皮質もしくは上肢機能に与える影響について検討する。
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