研究課題/領域番号 |
24500571
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長坂 誠 東北大学, 大学病院, 助教 (70375062)
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研究分担者 |
三浦 美佐 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (30612014)
上月 正博 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70234698)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電気刺激 |
研究概要 |
【背景】これまでわれわれは、運動療法の代替手段としての骨格筋電気刺激を行い、その効果・安全性について報告してきた。しかし、立位支持や歩行の安定のためには、下肢筋力のみならず体幹筋力が重要である。そこで今回われわれは、介護度3以上の虚弱患者に対して、下肢電気刺激に加えて腹筋電気刺激を行い、下肢・体幹筋力と日常生活動作の評価を行ったので報告する。 【方法】某療養型病院入院中の長期臥床患者(平均年齢87歳、要介護3~5、FIM86)に対して、腹筋と下肢に対する電気刺激療法を施行した。電気刺激箇所は、腹直筋、腹斜筋、大腿直筋、下腿三頭筋とした。刺激周波数は10 Hzで、1日1 時間、週7 日間・5週間施行した。刺激強度は患者本人が耐えられる最大強度とした。電気刺激の効果を判定するため、ハンドヘルドダイナモメータ(HDD)を用いて下肢筋力を評価した。またスパイロメトリーを用いて肺活量(VC)、1秒量(FEV1)、吸気週末圧(MIP),呼気週末圧(MEP), 最大呼気流気量(PEFR)の測定を行い、間接的に腹筋筋力を評価した。さらに日常生活動作の評価目的でFIMを測定した。 【結果】電気刺激療法により、下肢筋力は、51.5kgから59.5kgと改善傾向を認めた。またVCは1.09lから1.33l、FEVは0.59lから0.85l、MEPは7.5cmH2Oから8.1cmH2Oと改善した。 しかし、MIPとPEFR,FIMは電気刺激前後で改善しなかった。 【結論】長期臥床患者に対する腹筋・下肢骨格筋電気刺激療法は、下肢・体幹筋力向上に有効である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2:心不全、呼吸不全患者に対する骨格筋電気刺激による血管内皮機能・自律神経機能評価については対象患者が集まらないため進んでいない
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今後の研究の推進方策 |
2:心不全、呼吸不全患者に対する骨格筋電気刺激による血管内皮機能・自律神経機能評価については対象患者を速やかに集め研究推進する
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は当初計画していたESPRM(ヨーロッパリハビリテーション医学会)に参加する予定であったが、体調不良のため参加できなかったため、また当初予定していた電気刺激機器が円高のため予想以上に安く購入できたためである。そこで平成25年度請求額と合わせ平静25年度の研究遂行に使用する予定である。 具体的研究内容は以下のとおりである 1:心不全・呼吸不全患者に対する骨格筋電気刺激による血管内皮機能・自律神経機能の評価1)倫理委員会の許可を得た後、被検者を集める2)電気刺激を開始する前に、被検者に対して四肢末梢血管内皮機能・自律神経機能解析を行う。3)電気刺激を上記条件で1時間行う。電流の強さは個人が耐えられると考えられるレベルに調節する。4)電気刺激終了後に被検者に対して自律神経機能、血管内非機能測定を行う。その結果を電気刺激前・後で比較検討する。さらには副作用などの問題点がないかなどの安全性についての確認もする。5)電気刺激による血管内皮機能・自律神経機能の長期的評価を行うため、電気刺激は8週間行う。2週ごとに評価を行う 2:心不全・呼吸不全患者に対する運動療法、物理療法による血管内皮機能・自律神経機能の変化1)倫理委員会の許可を得た後、試験への参加の同意がえられた被検者を集める。具体的には、当院にリハビリテーション目的で入院中の患者を対象とする。2)運動療法や物理療法を開始する前に被検者に対して血管内皮機能・自律神経機能評価を行う。3)運動療法や物理療法を施行してもらう。4)運動療法や物理療法後に被検者に対して血管内皮機能・自律神経機能評価を行う。5)リハビリテーション前・後で、すなわち2)と4)の結果について比較検討する。
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