研究課題/領域番号 |
24500574
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
木村 慎二 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (40361901)
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研究分担者 |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
野村 修一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40018859)
植田 耕一郎 日本大学, 歯学部, 教授 (80313518)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 嚥下障害 |
研究概要 |
【研究の目的】我々は外部から与えられた振動を圧電効果により電圧に変換することを原理としたピエゾセンサーを前頚部に装着し、頚部振動波形測定により、嚥下造影検査(VF)側面像による舌骨の動態と有意な関連があることをすでに報告した。本研究の目的は、年齢の違いによる舌骨の動態および、ピエゾセンサー波形の潜時の変化を検討することである。 【方法】健常成人30名に対し、座位で5mlバリウム水を複数回嚥下し、若年群(20~59歳)14名、高齢群(60歳~79歳)16名の2群間でVF下での舌骨の動態および、ピエゾセンサー波形の潜時の変化を比較した。 【結果】舌骨運動を、嚥下開始時の安静位から後上方へ移動(S1)、これに続く前上方への急速な移動(S2)、安静位へ戻る移動(S3)と区分し、以前の報告でS1~S2と相関の高かったピエゾセンサー波形の潜時(PS1, PS2)との関連を検討した。過去の報告と同様に、各年齢群とも、咽頭期にあたるS1とPS1、およびS2とPS2との潜時は有意な正の相関を認めた。舌骨運動ではS1、S2ともに高齢群で有意な延長を認めた。ピエゾセンサーではPS1は高齢群で有意な延長を認めたが、S2においては有意差はなかった。 【考察および結論】過去の報告では高齢者は舌骨が下垂しており、S1は若年に比して、潜時が延長すると報告されている。本報告の舌骨の動きでは高齢者が若年者に比してS1が延長しており、同様にピエゾセンサーを用いた嚥下機能評価においてもPS1で有意に延長しており、過去の報告が再現された。今後は標準値として、年齢別データが必要になると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度では、我々のピエゾセンサーを用いた解析を試行錯誤のもと、30例の健常成人のデータを収集できた。この解析を単一の研究者が行い、日本リハビリ学会等の国内学会へ演題を提出し、現在までの結果を2013年6月に発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はデータ自身の信憑性を確認する必要性がある。そこで、もう一人の検者によって、ピエゾセンサーから得られたデータの解析を行い、その検者間のreliabilityを確認する予定である。まだ、30例のため、データのばらつきがあり、今後症例を10例追加し、6月にはデータを取る予定であり、そこで解析を再び行い、最終データとするか判断する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
10例のボランチアーへの謝礼、人件費、薬品代、さらには初年度同様に、データ解析の補助員への謝礼、学会参加費等に研究費を充てる予定である。
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