研究課題/領域番号 |
24500577
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
太田 進 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50452199)
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研究分担者 |
長谷 和徳 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (10357775)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 変形性膝関節症 / 下肢アライメント / 関節軟骨 / 3次元動作解析 / 歩行 |
研究概要 |
中年期以降に発症し女性の罹患率が高い変形性膝関節症(膝OA)の発症メカニズムの解明の一助とその予防ツールの開発の2点を本研究の目的とする. 目的1:一般に女性は男性より骨盤が広いため生理学的な膝関節外反(X脚)が大きい.しかし,中年期以降O脚変形を来す膝OA(内側型)を発症しやすい.そのため,女性の青年期から中年期において膝関節にかかる力学的変化があると考え,それに影響する要因を青年期と中年期を比較することにより解明する.(研究1:膝OA症例は,青年期にX脚,O脚のどちらのアライメントであったかを検証.研究2:20歳代,40歳代の膝関節軟骨・下肢アライメント・姿勢・歩行特性の年代別比較解析.) 目的2:我々の先行研究より姿勢改善運動で即時的に歩行時膝関節にかかるO脚方向への力(内反モーメント)が減少したため,そのメカニズムを明らかにし,姿勢改善を青年期から中年期の膝OA予防の一つと位置付け,自らの姿勢をフィードバックさせるツールの開発を行う.(研究3:どの姿勢部位の改善が膝関節内反モーメントに影響するか.研究4:姿勢のセルフフィードバックツールの開発.) 本年度の実績は、本研究の倫理委員会審査を受け,承認を得たのちに研究の一部実施とパイロットスタディを実施したまでである。研究1:膝OA患者41名(男性2名、女性39名)を対象に、青年期の膝関節のアライメント(O脚・X脚・ほぼストレートなど)のアンケート調査を開始した。研究2:大腿脛骨関節の軟骨の評価を3T MR imagingの計測方法をほぼ決定し再現性の調査を実施した。研究2は3次元動作解析とMR計測を行うものであるが、平成25年度夏より実際の計測を開始する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
達成度に関しては,研究計画がおおよそ予定通りに進んでいるため,目標はほぼ達成と考えている. 本研究は以下の4つの研究より構成している。研究1:膝OA症例は,青年期にX脚,O脚のどちらのアライメントであったかを検証。研究2:20歳代,40歳代の膝関節軟骨・下肢アライメント・姿勢・歩行特性の年代別比較解析。研究3:どの姿勢部位の改善が膝関節内反モーメントに影響するか。研究4:姿勢のセルフフィードバックツールの開発。 本年度は倫理委員会の承認を受け,研究1を実施し,研究2の計測方法の確立をするところまでを考えていたため,ほぼ予定通りのスケジュールとなった.研究1は膝OA患者41名(男性2名、女性39名)を対象に、青年期の膝関節のアライメント(O脚・X脚・ほぼストレートなど)のアンケート調査を開始した。予定計測人数150を目標にしている.順調にアンケート調査が継続できる体制が整った. 研究2は3次元動作解析と大腿脛骨関節の軟骨の評価を3T MR imagingを用いて行うものであるが,MR計測の計測方法をほぼ決定し再現性の調査を実施した。被験者をリクルートしての実際の計測は平成25年度夏以降を予定している.
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今後の研究の推進方策 |
研究1に関しては,現在41名の調査を終えている.変形性膝関節症症例を対象(手術前)に引き続きアンケート調査を行い,150名の調査を目標とする.また,今年度中に健常高齢者のアンケート調査も実施予定とする.現在の研究協力機関名古屋整形外科人工関節クリニックで継続して行う. 研究2に関しては,MR計測の設定がおおよそ決定した.20歳代と40歳代の対象者のリクルートは7月以降に行い8月から9月にかけて3次元動作解析とMR計測を行う.名古屋大学大幸キャンパスの3TMRとMR検査室と同じ建物内にあるトレーニング室で動作解析計測をする.20歳代は医療系の大学生,40歳代は医療従事者の計測を行う. 研究3に関しては,本年度秋以降に計測を実施する予定である.こちらは健常者を対象に現在研究代表者が勤務する星城大学にて実施する予定である. 研究4に関しては,研究3の結果を受けて姿勢のセルフフィードバックツールの開発を実施する.脊椎の矢状面アライメントを曲げセンサーを通じて感知し,設定を逸脱した場合に振動などで知らせるシステム構築を行う予定で,研究分担者長谷と検討していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
主な研究費の使用用途は3次元動作解析装置(Venus3D)の購入である.既存している床反力計と同期をさせ,動作解析システムを完成させる. MR計測には1名2万円が使用料として必要であり40万円の経費が必要である.またMR計測データの解析のため,本年度より研究分担者として加わった帝京大学ちば総合医療センター渡辺の指導の下,データの解析を行う.そのため,千葉県への旅費が必要となる.また研究1,2のデータ解析のための人件費,他の分担者2名(首都大学東京長谷は継続,名古屋大学福山はMR検査の実計測のための分担者として新規登録)への分担金が発生する.また,研究打ち合わせ,研究発表のための旅費,計測に関する消耗品が必要となる.
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