研究課題/領域番号 |
24500580
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
田中 宏喜 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (40335386)
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キーワード | 人工視覚 / 皮質微小電気刺激 / 視覚野 / 多点電極 |
研究概要 |
本研究は、皮質刺激型人工視覚を実現するための最適な電気刺激パラメーターの探索や多点刺激電極を利用した新しい刺激手法の開発を動物実験により行うことを目的としたものである。 マウス大脳皮質2/3層に刺入したガラス電極より、標準的プロトコール(双極性電気パルスのトレイン刺激、刺激周波数 8 ~ 160Hz, 刺激強度 10~60μA)で電気刺激を行った場合、刺激のトレイン周波数が高いほど、持続的な神経活動が、 また、空間局在化した神経活動が得られることがわかった。神経活動は膜電位感受性色素イメージング法(RH1691)により計測した。次に、160Hzの刺激トレインを間欠的に刺激した場合は、刺激/無刺激期間のデューティ比が20~40%程度にまで下げても、空間局在性が十分高く、また持続性の高い神経活動が得られることを見出した。 さらに、ラット大脳皮質表面に布置した平面タイプの多点電極から、1mA以下の比較的弱い電流を通電することで、神経組織を活性化できるとの予備データを平成24年度に得た。この実験でも、神経活動の計測には、膜電位感受性色素イメージング法を用いた。平成25年度は、このデータの詳細な解析を行っており、500μA以下の電流で神経組織を強く活性化できるということに十分再現性があることを確認した。またこの活性化の時間経過、空間局在性を定量化することを行った。 私は平成25年度4月に京都産業大学に移籍したが、ここでも上記の実験を継続するために、実験のセットアップを行い、現在、電気刺激および神経細胞電気活動計測機器セットアップが概ね完了した段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
効率的な刺激プロトコールをガラス電極を用いて探る実験は平成24年度中に行い、平成25年度にさらに詳細なデータ解析を行った。これに関する学会発表は、平成24年度中に2度行ったが、さらに平成25年度の視覚科学フォーラム、日本神経科学でも発表している。 一方で、平成25年度4月に京都産業大学に着任したあと、そこでも実験セットのセットアップを完了し、電気刺激実験を再開する予定であった。これにより平成25年度中に、平面タイプの高密度多点電極を用いた皮質電気刺激の効果のさらなる検証実験を行うことを予定していた。しかし、セットアップの大部分は完了したものの、実験プログラムの最終的なチューニングにまでは至らず、動物実験の再開までには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度前半に、実験システムの最終チューニングを終え、データ取得を再開する。そして、平面タイプの高密度多点電極を用いた皮質電気刺激の効果のさらなる検証実験を行っていく。その後、これまでに得たデータも合わせて総合解析を行う。 もう1つの実験である、効率的な刺激プロトコールをガラス電極を用いて探る実験は、すでに4度の学会を終えており、まとめの段階に入っている。上記の実験と並行して、こちらを論文としてまとめていくことを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
京都産業大学に移籍後、研究室の立ち上げおよび実験セットのセットアップに想定したいたよりも時間がかかったために、当初予定したいた動物実験を実施できなかった。このため計上していた動物実験消耗品や、一部の動物実験機器の購入を行わなかった。 平成26年度前半に実験セットアップを完了し、実験を再開し、データを取得する。そのための電子機器消耗品、動物実験消耗品として999628円を使用する。
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