研究課題/領域番号 |
24500582
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
砂川 融 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 教授 (40335675)
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研究分担者 |
小池 康晴 東京工業大学, ソリューション研究機構, 教授 (10302978)
中西 一義 広島大学, 大学病院, 病院助教 (60403557)
車谷 洋 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 講師 (00335647)
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キーワード | 利き手 / 運動イメージ / 脳磁図 / 近赤外分光法 / 経頭蓋直流電気刺激 / ミラーセラピー |
研究概要 |
1. 経頭蓋直流電気刺激 (tDCS)の至適刺激強度を検討するために右利き健常成人17名を対象に前頭前野を1又は2mAで10分間電気刺激し,ワーキングメモリー課題を実施した.1mA,10分間刺激することで有意に課題遂行能力が向上することが判明した(p<0.05)が,1mAと2mA間には有意差はなかった.課題遂行能力向上のためのtDCSは1mA,10分間刺激が適当であることが判明した. 2. 運動関連領域へのtDCSが運動イメージに与える影響について明らかにするために以下の研究を行った.右利き健常成人 19 名を対象に,tDCS は脳の活動性を促進させる anodal 刺激 (刺激強度 1mA) とsham 刺激の 2 条件とし,左運動野を10 分間刺激した.運動イメージ課題として手のメンタルローテーション課題 (MR 課題) を用い,MR 課題の反応時間と誤答数を tDCS の刺激前後および刺激条件間で比較した.anodal 刺激後の反応時間は刺激前と比較して有意に短くなった (p<0.01) が,sham 刺激で差はなかった.また,刺激後の反応時間はanodal刺激でsham刺激より有意に短くなった (p<0.05).誤答数は anodal,sham刺激ともに有意差はなかった.運動関連領域への tDCSは同領域の活動性を促進することで運動イメージ能力を向上させ,tDCSがより効率的で対象者に優しいリハビリテーション法開発の一助になる可能性のあることが判明した. 3. 昨年研究者らは正常人を対象にミラーセラピーを手の運動課題として行なう際のより効果的な条件設定を脳科学的に示した.本年は感覚刺激課題でのミラーセラピーの有効性を健常成人を対象に脳磁図を用いて解析した.現在までのところその有効性と利き手,非利き手間での差異も示せていないが,現在解析を続行している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概ね順調に伸展しているが,以下の点でやや遅れている. 1.前年度に行なった研究 “Primary motor cortex activiation during tendon gliding exercises: The effects of differences between the dominant and non-dominant hands”を英文学術雑誌に投稿中であるが,掲載決定に至っていない. 2.当初予定していた単純動作が複雑動作課題の脳活動に与える影響についての解析が研究途中(有意な影響が確認できていない)である.
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今後の研究の推進方策 |
1. 単純動作課題内容を検討・変更し研究を継続する. 2. tDCSとNIRS計測を即時的に行なえる環境設定を整えたので,これを使用し研究を続行する. 3. 上肢運動に対するtDCSの脳レベルでの影響について、近赤外分光法と脳磁図を使用し計測中であり,続行する. 4. 既に完了した研究について英文学術雑誌に投稿する.
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次年度の研究費の使用計画 |
一部研究が完了せず,学会発表,論文投稿が完了していないものがあるため. 消耗品費:計測機器使用上の消耗品、実験データ解析に伴う消耗品等の購入に使用予定 旅費:国内及び海外学会での研究成果の発表、研究者間での施設往来に使用予定 その他:論文作製費用として使用予定
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