研究実績の概要 |
呼吸リハビリテーションが処方された入院期呼吸器疾患患者32名を対象とし、唾液酸化ストレスマーカーの検体解析の信頼性および再現性に関する基礎的検討を行った。唾液採取は、唾液採取チューブを用いて付属の綿を噛むことで行い、呼吸リハビリテーション実施前と実施後の2回のタイミングで実施した。各タイミングで得られた検体は、3分割し連続して唾液中BAPを測定し、同時再現性を確認した。呼吸リハ実施前の検体は、変動係数(CV)1.4~19.1%、級内相関係数ICC(1,1)=0.962,ICC(1,3)=0.987であった。実施後の検定は、CV1.34~24.2%、ICC((1,1)=0.959,ICC(1,3)=0.986であった。よって唾液中BAP検査実施おいて、同時再現性は、ばらつきを認められる検体が認められるが、検体内信頼性が高いことが明らかとなった。 さらに、運動療法を中心とした呼吸リハビリテーションが唾液中酸化ストレスマーカーに与える影響を検討した。呼吸リハビリテーション処方時と退院時の2回、それぞれの運動療法前後に唾液を採取し、BAP値を解析した。BAP値は、検体を連続して3回解析し、平均したデータを代表値とした。運動療法は、研究施設の理学療法士によって立案し、実施した。リハビリテーション処方時の運動療法前は、3782.1(2485.6)μmol/L(中央値(四分位範囲))、運動療法後は、3374.0(1828.5)μmol/Lであり、有意な変化を認めた(p=0.024)。退院時の運動療法前は、4287.2(1584.0)μmol/L、運動療法後は、3677.3(1731.7)μmol/Lであり有意な変化を認めた(p=0.005)。以上のことより、単回の運動療法を中心とした呼吸リハビリテーションは、唾液中酸化ストレスに影響を及ぼすことが明らかとなった。
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