研究実績の概要 |
急性増悪等にて入院し、呼吸リハビリテーションが処方された呼吸器疾患患者12名を対象とし、唾液中抗酸化機能を検討した。唾液採取は、唾液採取チューブを用いて付属の綿を1秒間に1回、1分間噛むことで採取を行った。採取した唾液は、遠心分離機にて2000rpmで10分間遠心分離した後に上清を分注した。唾液の解析は、直ちに、フリーラジカル解析装置を使用して唾液中抗酸化力を解析した。この場合、Biological Antioxidant Potential Test Kitを使用し、BAP値を解析した。解析は、呼吸リハビリテーション実施前安静時と実施後に採取し、入院初期のリハビリテーション処方時(以下、入院初期時)と退院時の2回のタイミングで実施した。なお、全ての患者において唾液中の潜血反応が陰性であることを確認した後に解析した。呼吸リハビリテーションは、研究施設の理学療法士によって立案し、実施した。安静時のBAP値を基準としたリハビリテーション後のBAP値比較のため、BAP変化率を算出した。入院初期時におけるリハビリテーションBAP変化率は-9.2±28.4%、退院時におけるBAP変化率は-10.2±10.4%であり、2群間に有意な差を認めなかった(paired test, p=0.89)。安静時BAP値は入院初期時値と退院時値の間に強い正の相関を認め(n=13,r=0.577,p=0.39)、さらに安静時BAP値とリハビリテーション後BAP値の間に強い正の相関を認めた(入院初期時;n=13,r=0.708,p=0.007・退院時;n=13,r=0.942,p=0.001)。以上の結果より、唾液中BAP値は、呼吸リハビリテーション実施後に低値を示すが、安静値の影響を受けことが明かとなり、唾液中酸化ストレス指標の確立のためには、今後、安静時変動を加味した研究を展開する必要がある。
|