研究課題/領域番号 |
24500585
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
浦邉 幸夫 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 教授 (40160337)
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研究分担者 |
前田 慶明 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 助教 (10536783)
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キーワード | 膝前十字靭帯損傷 / サイドステップカッティン / 女子バスケットボール選手 |
研究概要 |
スポーツ活動中に発生する膝前十字靭帯(anterior cruciate ligament: ACL)損傷について、日本を含め各国の研究者がその予防策を講じるために研究を続けている。トップスピードのダッシュからストップして方向を転換する「サイドステップカッティング」の動作中にACL損傷の発生が多くみられ、この動作を安全に行えることが、予防につながる。 サイドステップカッティングの動作分析では、身体重心の移動方向が大きく変化し、重心の移動距離が長いため、動作そのものを正確に分析するために多くの困難が生じている。ジャンプからの着地動作でもACL損傷の発生が多いが、これについては動作分析が正確になされ、予防のためにいくつかの提言が行われている。そのため現在はサイドステップカッティング動作を正確に分析することの意味は大きい。 研究1年目は、フットスイッチを作成し、ストップ動作から方向変換のカッティング動作への一連の流れをバスケットボール選手で測定することが可能となった。研究2年目は助走距離・速度、ストップ時の足先の位置、方向変換の角度、また左右方向のカッティング動作に違いについて研究を進めた。研究2年目は、予定していた内容で研究が推進できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の研究期間での成果は、まとめて2013年5月に開催された第48回日本理学療法学術集会の一般演題で発表した。また、同学術集会で行われた「膝前十字靭帯損傷の治療」のシンポジウムで、ACL損傷術後のリハビリテーションと損傷予防の内容で成果の一端を報告した。 さらに、2013年6月に開催された第2回日本アスレティックトレーニング学会学術集会で報告した。今回は、バスケットボールを競技種目としてとりあげ、膝ACL損傷予防プログラムの必要な「ハイリスク選手」を抽出し、実際その選手のサイドステップカッティングと、リスクの少ない選手との間にどのような違いがあるのかを提示した。この内容は雑誌「アスレティックトレーニング」に投稿中である。さらに、2014年4月にMonacoで開催されたIOC prevention conference for sports injury and illness で成果を発表した。 また、2013年9月に開催された第68回日本体力医学会で膝ACL損傷が右膝よりも左膝で発生する比率が高く、この理由をサイドステップカッティング動作の分析から考察した。この内容は雑誌「体力科学」に投稿中である。さらに2年目の研究機関の成果は、2014年5月に開催される第49回日本理学療法学術集会、2014年7月に開催される第3回日本アスレティックトレーニング学会学術集会等で報告する予定である。以上のように2年目の研究期間では、予定していた内容の研究成果が得られた。引き続き次の展開を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究機関3年目は、詳細なデータ分析と症例数の蓄積を行う。サイドステップカッティングの左右方向での動作の違いの有無につては、まだ確実な結果が得られているとはいえず、これが最大の研究課題になる。サイドステップカッティング動作時に、左膝関節の最大屈曲角度が小さいことと、左膝関節最大外反角度が大きい傾向は認められているが、これが統計学的に有意なものであるか吟味していく。 これによって、バスケットボール選手の膝関節が、サイドステップカッティングでどのような運動を行っているのか、ハイリスク選手とリスクの少ない選手の違いはどこにあるのかを結び付けられる。その結果としてサイドステップカッティング動作での膝ACL損傷予防に根拠のある提案ができると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画通り適切に使用した結果,不可避な残額が生じた. 次年度の使用額は平成26年度予算と合わせて次のように使用する.国際学会、国内学会への参加費用、論文の作成、校正、印刷費用等に計画通りに研究費を使用する。
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