研究課題/領域番号 |
24500588
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
見上 昌睦 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30279591)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 吃音児 / 指導 / 支援 / 通級による指導 / 音読 / 吃音の公表 / セルフヘルプグループ / 連携 |
研究実績の概要 |
吃音児の実態やニーズに即した指導及び支援法について検討するために、事例研究と調査研究を行った。 1.事例研究 【対象児】(1)吃音の進展した学齢児:発吃2歳0ヵ月、初診時年齢9歳4ヵ月のA児(吃音重症度評定尺度で重症度6、間接法による受療経験あり)。時々「学校に行きたくない」と言う。(2)軽度の知的障害を伴う吃音児:吃音を主訴とし、初診時に小学校2年(B児)と5年(C児)の2例。公立小学校言語障害通級指導教室において指導が行われた。WISC-ⅢによるFIQは63(B児)と53(C児)。B児は通常の学級(他校)に、C児は知的障害特別支援学級(他校)に在籍。【指導方法】(1)柔らかな起声・声でゆっくりと母音部をひき伸ばし気味に発話(音読を含む)。B、C児の読みの問題に対して、音読では主に文節ごとに意味のまとまりを意識させるよう指導(B児)、読めない漢字に振り仮名をつけ、指でなぞりながらの音読 (C児)。(3)カウンセリング的対応、(4)児童中心遊戯療法、(5)親面接(環境調整)。【経過】指導開始後、全3例において吃音症状は軽快、行動・心理面は好転。A児のコミュニケーション態度は好転、「学校に行きたくない」と言わなくなった。【考察】吃音の進展した学齢児、軽度知的障害を伴う吃音児に対し、関連した問題に留意しながら、直接的言語指導を核とし、多面的に指導・支援していくことの効果が示唆された。 2.調査研究 吃音者の吃音の公表について、自己隠蔽尺度を用いて検討を行った。さらに、吃音の公表に伴う心理的変化や、公表する際に聞き手に求める態度について検討した。セルフヘルプグループ会員を中心とする吃音者110名に調査を行った。対象の吃音者の多くは吃音を公表しており、公表している者は自己隠蔽性が低かった。吃音の公表後に心理面が好転した者は多く、指導・支援に積極的に生かしていくことも求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
吃音児の実態やニーズに即した指導及び支援について検討し、個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成に生かすために、事例研究と調査研究を推進している。 事例研究については、主に吃音の進展した子どもを対象に、合併症(構音障害、知的障害、読みの問題など)のある子どもも含めて指導及び支援を継続中であり、一部を論文、学会発表(国際学会を含む)、図書(共著)において発表している。 調査研究については、吃音者のセルフヘルプグループや言語障害通級指導教室等との連携による吃音児支援のあり方、吃音者の吃音の公表(公表に伴う心理的変化や公表の際に聞き手に求める態度等)などについて質問紙調査を実施し検討を進め、一部を学会発表している。さらに、大学の教員養成課程における吃音に関するカリキュラムについても質問紙調査を実施し検討を進め、一部を学会発表している。
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今後の研究の推進方策 |
事例研究については、福岡教育大学教育総合研究所附属特別支援教育センターを中心に、吃音児(合併症のある子どもを含む)の臨床指導を継続して推進する。指導前後のコミュニケーション態度の変容についても検討する。成果の一部を学会発表、論文及び図書(共著)に整理する。 国際学会における発表も予定しており、情報収集や研究上の示唆も得ながら継続して推進する。 吃音児者に対する直接的言語指導に焦点を当てた指導方法に関する国内外の研究の整理も行う。さらに、地域の言語障害通級指導教室との吃音児支援に関する連携のあり方についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、成果発表(情報収集を含む)として第10回オックスフォード非流暢性学会に参加したが、当初の計画よりも旅費がかからなかった。さらに、物品費等の支出が少なく、人件費・謝金を使用しなかった結果、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用計画については、「物品費」として、データ保存用ディスク、発達・心理検査用紙・教具、パソコン関係備品・ソフトウェアなどを考えている。音声分析・音声解析システムの導入についても検討する。「旅費」として、成果発表(情報収集を含む)については、国内学会に加え、国際流暢性障害学会への参加を考えている。「謝金」として、資料整理を考えている。学会参加費、翻訳料、論文別刷料、通信運搬費、複写費などを考えている。
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