研究課題/領域番号 |
24500590
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田中 浩二 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60613601)
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研究分担者 |
田中 悟郎 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00253691)
中根 秀之 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90274795)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 認知症 / BPSD / 評価 |
研究概要 |
BPSDの評価表は既存ものがいくつか見られるが,その多くは薬剤の効果判定のためにつくられており,実際の介護場面では使いづらい面がある.そこで,本研究ではBPSDの幅広い項目を評価することにより対象者の状態像を把握でき,リハビリテーションやケアなどによる対象者の変化を捉え,介入の効果判定に利用できるBPSDの評価尺度を開発することを目的とする. 平成24年度は高齢者施設介護職員を対象に介護場面で実際に見られるBPSDについて調査をおこなった.長崎市老人福祉施設協議会ならびに長崎県老人保健施設協会の協力を得て,合計96施設に調査票を送付し485名より回答を得た.調査票は既存のBPSD評価尺度ならびに認知症の評価尺度においてBPSD項目であるものから,228項目を作成した.内訳は行動症状122項目,心理症状106項目となった.調査は施設職員が実際に介護業務に従事するにあたり,項目にあるような症状が見られるかどうかを問い,見られる場合はその頻度を3段階,その症状の強度を5段階で回答を求めた 見られるとの回答の多かった項目の上位20項目中,行動症状が14項目,心理症状が6項目であった.下位20項目中,行動症状9項目,心理症状11項目であった. 強度の平均の高かった上位20項目中,行動症状19項目,心理症状1項目であった.下位20項目中,行動症状6項目,心理症状14項目であった. 既存のBPSD評価尺度は行動症状よりも心理症状の評価項目が多い傾向にあるが,実際の介護場面では頻度,強度共に心理症状よりも行動症状のBPSD項目が上位となった.今結果より実際の介護場面では行動症状を評価することができる尺度が必要であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の達成目標としては,BPSD関連文献を検討し,BPSD項目のリストを作成することをあげた.既存のBPSD評価尺度ならびに認知症の評価尺度においてBPSD項目であるものから,228項目を作成し,このリストを用いて実際の介護場面でみられるBPSDについて調査をおこなった.実際の介護場面では心理症状よりも行動症状の方が頻度,強度ともに高いという結果をが得られた.既存の評価尺度は行動症状よりも心理症状の方が評価項目が多くなっており,実際の介護場面でのBPSDを十分に評価できないことが予想される.現在,この調査結果をもとに,新しい評価尺度を作成しており,当初の計画通りおおむね順調に進展していると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は開発した評価尺度を用いて実際に対象者の評価を行ない,信頼性・妥当性の検討を行ないたいと考えている.また,24年度に行なった調査結果の国際学会での発表,論文の投稿も行ないたいと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
評価尺度開発に関する費用として事務用紙購入費,印刷費の使用を計画している.実際に評価を行なう際の研究旅費,打ち合せ旅費,通信費の使用を計画している.研究成果の発表に際しての国内旅費,国外旅費,外国語論文の校閲費用の使用を計画している.研究データの入力等の事務作業に関する人件費の使用を計画している.
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