研究課題
本研究では、集団認知行動療法が統合失調症患者のセルフスティグマに及ぼす影響について検討を行っている。セルフスティグマを低減できる有効なプログラムを確立することで精神障害者のリカバリー(回復)に寄与することが期待できる。プログラムの目的は、認知(自動思考)の修正と、それに伴う気分・感情の改善、そしてより適切な対処行動の獲得である。これまでに概ね集団認知行動療法プログラムの内容を確立した。メンバーは全員対等な立場でプログラムに参加し、ユーモア溢れる温かい雰囲気の中で安心して自分の弱みを表現できるようになり、互いに協働して楽しみながら「研究活動(当事者研究)」に取り組んでいる。まず人が問題ではなく、問題が問題であると認識し、問題を外在化できるようになってきた。次に「研究活動」の目標は、しだいに「問題を解決する」ことではなくなり、「問題を抱えていても、なんとかやっていけると思えること」へと変わりつつある。多様なメンバーから様々な意見が出されるため、メンバーのものの見方(認知)や振る舞い方(行動)はより豊かになってきている。また自分自身消し去りたい(認めたくない、受け入れがたい、背負いきれない)と思っていた問題でも、問題の見方や問題への対処法を仲間と一緒に「研究」してみると、その問題は興味や関心の対象へと変化していく。すると問題を客観的に眺めることができるようになり、問題が小さく見え始め、問題をコントロールしやすく(抱えやすく、持ちやすく)なることなどが本研究により示唆された。
2: おおむね順調に進展している
集団場面では多様なメンバーから様々な意見が出されるため、メンバーのものの見方(認知)や振る舞い方(行動)はより豊かになってきている。安心して自分の問題(弱さ、苦労)を話せる場(雰囲気)を作ることの重要性が示唆された。
安心して自分の問題(弱さ、苦労)を話せる場(雰囲気)を維持していき、深刻な「問題」であるはずの「もろさや弱さ」が、人とのつながりをもたらす「強み」になるような体験をメンバーが積めるように支援していく。
研究分担者が平成25年度に予定していた研究の遂行にやや遅れが見られたため。研究分担者が平成25年度に予定していた研究も含め、平成26年度に取り組んでいく。
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Occupational Therapy International
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