研究課題/領域番号 |
24500592
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
折口 智樹 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90295105)
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研究分担者 |
川尻 真也 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20457576)
沖田 実 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50244091)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 関節リウマチ / 神経ペプチド / サイトカイン |
研究概要 |
本研究において、運動療法の関節リウマチに対する効果とその客観的な評価項目を明らかにするために、疾患活動性マーカーとともに神経ペプチドとサイトカイン測定ならびに関節超音波検査を実施した。 対象はA大学病院リウマチ・膠原病内科受診中の関節リウマチ患者(年齢62.4±9.1:罹病期間21.5±14.4年(1~44年))で、通常のリウマチの治療を受けており、3ヶ月以上治療内容の変更なく、その活動性が一定しているもの(疼痛関節数 5.4±3.0関節、腫脹関節数 9.8±2.5関節、CRP 1.93±2.33mg/dL、DAS28-CRP 4.10±0.69)である。なお、本研究はA大学病院倫理委員会にて承認を得て行った。これらの患者に週3回運動療法を施行し、開始前と開始から4週間後の両時点において疼痛関節数、腫脹関節数、CRP、疼痛VAS、mHAQ、DAS28-CRPを測定した。また両時点において採血を行い血清を抽出し、疼痛の神経伝達物質であるサブスタンスP (SP) と炎症により遊離されるサイトカインである、IL-6、そしてとTNF-αをELISA法にて測定した。 疼痛関節数、疼痛VAS、mHAQ、サブスタンスP、sTNFR1においては運動療法前後で変化なかったが、腫脹関節数、CRP,DAS28-CRP,IL-6は有意差はないものの、運動療法後減少傾向にあった。また、運動療法によるIL-6とDAS28-CRPの変化に有意な相関がみられた。 これらのことから、運動療法はIL-6を減少させる可能性があり、IL-6がその効果を判定するためのマーカーとなり得る可能性が示唆された。また、運動療法前後で関節超音波検査を実施していたが、その画像において著明な変化を認めなかったものの、運動療法が安全に行われていることを把握するのに有用であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに関節可動域や握力を測定する器具類は揃い、研究もおおむね順調に進んでおり、関節リウマチに対する運動療法の効果について、疼痛関節数、腫脹関節数、CRP、疼痛VAS、mHAQ、DAS28-CRPを測定し、血清中のサブスタンスP やサイトカインの濃度を測定するとともに、超音波検査を実施することができた。 研究成果については、リウマチならびにリハビリテーション関連の学会で発表するとともに、論文にまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は運動療法の関節リウマチに対する効果とその客観的な評価項目について検討を行った。その研究成果については、学会で発表し、論文として投稿を予定している。 次年度は、平成26年に実施予定であったリウマチ体操の関節リウマチに対する効果について実施する。関節リウマチ患者にリウマチ体操の前後で以下の項目について比較検討を行う。関節リウマチの活動性は腫脹関節痛、圧痛関節数、朝のこわばりの持続時間、患者・医師による全般評価(VAS)、被験者による全般負荷、被験者による痛みの評価、筋力(MMT)、関節可動域、mHAQならびにDAS28-CRP、SDAI、CDAIによって評価する。赤血球沈降速度やCRPとともに、TNFα、IL-1、IL-6のサイトカインの血中濃度も検査する。疼痛に関するマーカーとして神経ペプチドの一つであるサブスタンスPを、関節炎マーカーとしてMMP-3を測定する。さらに、画像的評価のために、超音波検査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
関節リウマチの客観的な評価項目である炎症所見測定ならびに数種類のサイトカインや神経ペプチドの血中濃度測定のためのELISAキットをはじめとする実験器具、試薬を購入する。 さらに、研究成果の発表および論文作成のための費用を要する。
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