研究課題
本研究において、関節リウマチに対するリウマチ体操の効果とその客観的な評価項目を明らかにするために、疾患活動性マーカーとともにサイトカイン測定ならびに関節超音波検査を実施した。対象はA大学病院リウマチ・膠原病内科受診中の関節リウマチ患者(年齢61.3±7.9歳、罹病期間11.8±10.2年)で、標準的な関節リウマチの治療を受けており、3か月以上治療内容の変更なく、その活動性が一定しているもの(疼痛関節数4.3±1.3、腫脹関節数3.5±3.1、DAS-CRP 3.4±0.8)である。なお、本研究はA大学病院倫理委員会にて承認を得て行った。これらの患者に毎日リウマチ体操を行ってもらい、開始前と開始4週間後の両時点において疼痛関節数、腫脹関節数、疼痛VAS、mHAQ、DAS-CRPを測定した。また両時点において採血を行い、血清を抽出し、疼痛の神経伝達物質であるサブスタンスPと炎症により遊離されるサイトカインであるIL-6とTNF-αをELISA法にて測定した。疼痛関節数、DAS-CRP、IL-6は有意差はないものの、リウマチ体操後減少傾向にあった。しかし、腫脹関節数、mHAQ、サブスタンスP、TNF-αにおいては運動療法前後で変化なかった。これらのことから、リウマチ体操は疼痛ならびに疾患活動性を低下させる可能性が示唆された。また、リウマチ体操の前後で関節超音波検査を実施していたが、その画像において著明な変化を認めなかった。リウマチ体操後関節リウマチの活動性が増加した症例が1例あったが、その症例では血流シグナルの増加、滑膜肥厚の所見が認められた。
2: おおむね順調に進展している
現在までに関節可動域や握力を測定する器具類は揃い、研究もおおむね順調に進んでおり、関節リウマチに対するリウマチ体操の効果について、疼痛関節数、腫脹関節数、疼痛VAS、DAS-CRPを測定し、血清中のサブスタンスPやサイトカインの濃度を測定するとともに、超音波検査を実施することができた。研究結果については、日本RAのリハビリテーション研究会ならびに九州リウマチで発表した。
本年度はリウマチ体操の関節リウマチに対する効果とその客観的な評価項目について検討を行った。その研究成果を論文として投稿する予定である。次年度は、関節リウマチに物理療法の前後で以下の項目について比較検討を行う。関節リウマチの活動性は腫脹関節数、圧痛関節数、疼痛VAS、筋力、関節可動域、mHAQならびにDAS-CRP、SDAI、CDAIによって評価する。赤血球沈降速度やCRPとともに、TNF-α、IL-1、IL-6のサイトカインの血中濃度も測定する。疼痛に関するマーカーとしてサブスタンスP、CGRP、GRPを、関節炎のマーカーとしてMMP-3を測定する。さらに、画像的評価のために、関節超音波検査を実施する。
今までの研究結果を論文にまとめ、投稿する予定でありましたが、今年度中には間に合わなかったので、論文投稿にかかる投稿費用、英文校正費の余剰が出ました。次年度は、論文を完成させ、投稿費用、英文校正費用に充てる予定である。
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九州リウマチ
巻: 33 ページ: 15-21
巻: 33 ページ: 74-80
Modern Rheumatology
巻: 23 ページ: 36-43
巻: 23 ページ: 254-259