研究課題/領域番号 |
24500594
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉田 輝 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40347109)
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研究分担者 |
池田 聡 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00343369)
川平 和美 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20117493)
大渡 昭彦 鹿児島大学, 医学部, 助教 (30295282)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 温熱 / ラット / シストメトリー |
研究概要 |
本年度は、覚醒ラットを用い、温熱が排尿反射に及ぼす影響について検討を行った。 SD系雌ラットを用いイソフルレン吸入麻酔下で膀胱瘻を作製し、膀胱カテーテルと温度センサーを挿入し、腹部から導出した。次にラットをボールマンケージに収容し、麻酔から覚醒後、膀胱内に37℃の生理食塩水を12ml/時の速度で持続注入し排尿反射を誘発させ、シストメトリーを行ない、生理食塩水の温度を41℃へ変化させた際の影響を調べた。その結果、排尿閾値圧の低下(前 8.2±0.8 cmH2O→後 6.7±0.7 cmH2O)、静止圧の低下(前 3.4±0.5 cmH2O→後 2.2±0.4 cmH2O)、排尿持続時間の短縮(前 13.2±0.9 sec→後 10.7±0.7 sec)を認めた。一方、排尿時膀胱内圧や排尿間隔には変化を認めなかった。我々はこれまでの研究により温熱が摘出排尿筋のカルバコールや40 mM KClによる収縮反応を抑制することを明らかにしており、今回の実験により得られた排尿閾値圧と静止圧の低下、および排尿持続時間の短縮という結果は、膀胱内へ作用させた温熱が排尿筋層へ作用し、膀胱収縮を抑制したことによる変化と考えられた。また、排尿間隔には変化を認めなかったことから、膀胱内へ作用させた温熱は、膀胱知覚求心路に影響を及ぼさないものと考えられた。 今回の結果より、膀胱内への41℃の生理食塩水の注入が、平滑筋層へ作用し、膀胱収縮の抑制させうることが示された。この成果は、脊髄損傷後などの神経因性膀胱で認められる排尿筋過活動を膀胱内への温熱の作用で抑制させうる可能性を示すものであり、今後、その効果を脊髄損傷ラットで確認していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、排尿反射に対する温度の影響を調べるための実験系を確立することができ、正常ラットにおいて、膀胱内へ作用させた温熱が排尿反射に対してどのような影響を及ぼすかを明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、温熱を体表面から作用させた際の影響を調べる実験を行うとともに、脊髄損傷ラットを用いた摘出排尿筋での等尺性張力実験やシストメトリーにより温熱の作用を調べることで、神経因性膀胱の治療への温熱の応用の可能性を検討する。さらに、TRPチャネル作動薬、遮断薬による排尿反射への影響や、膀胱や後根神経節におけるTRPチャネルの発現の変化を調べることで、温度感受性TRPチャネルの神経因性膀胱の病態への関与を明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、現有の機器よりも、より詳細なデータ解析が可能なポリグラフシステムRMT-1000(日本光電)を導入するとともに、試薬などの購入を行う。さらに、研究成果を国内外の学会で報告するための旅費を計上する。
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