研究課題/領域番号 |
24500594
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉田 輝 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40347109)
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研究分担者 |
池田 聡 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00343369)
川平 和美 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (20117493)
大渡 昭彦 鹿児島大学, 医学部, 助教 (30295282)
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キーワード | 温熱 / ラット / シストメトリー |
研究概要 |
本年度は、無麻酔除脳ラットを用い、温熱を膀胱内及び体表面から作用させた際の排尿反射への影響を検討した。【方法】SD系雌ラットを用い、イソフルレン吸入麻酔下に膀胱頂部からカテーテルとサーミスター温度プローブを挿入した。次にラットを定位脳固定装置に固定後開頭し中脳上丘レベルで除脳を行い麻酔を停止した。麻酔停止後2時間後から生理食塩水を12ml/h速度で膀胱内へ持続注入し排尿反射を誘発させ、シストメトリーを行った。37℃生理食塩水での排尿反射安定後、注入する生理食塩水の温度を上昇させ膀胱内の温度を40.4±0.7℃に30分間維持した場合と、S1皮膚分節付近の皮膚表面から40~42℃の温熱を30分間作用させた場合の諸パラメータの変化を調べた。【結果】膀胱内へ温熱を作用させると、排尿閾値圧が29%低下、静止圧が37%低下、第2相収縮圧が15%低下し、膀胱コンプライアンスが61%増加した。一方、S1皮膚分節付近の皮膚表面に温熱を作用させると、最大排尿圧が7%低下、第2相収縮圧が17%低下したが、膀胱内温度や排尿閾値圧、静止圧、膀胱コンプライアンスには有意な変化を認めなかった。【考察】膀胱内へ作用させた温熱は、排尿筋層へ作用し排尿筋を弛緩させ、膀胱コンプライアンスを増加させるものと考えられた。また、S1皮膚分節付近の皮膚表面から作用させた温熱は、膀胱内への温熱作用とは異なる機序で膀胱収縮に対して抑制的に作用するものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、無麻酔除脳ラットを用いたシスメトリーで、温度変化が排尿反射に及ぼす影響を調べる実験系を確立することができ、温熱を膀胱内及び体表面から作用させた際の排尿反射への影響を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今回確立した無麻酔除脳ラットを用いた実験系を用い、脊髄損傷ラットで温熱が排尿反射へ及ぼす影響を調べることで、脊髄損傷後の神経因性膀胱の治療への温熱の応用の可能性を検討する。さらに、TRPチャネル作動薬、遮断薬による排尿反射への影響や、膀胱や後根神経節におけるTRPチャネルの発現の変化を調べることで、温度感受性TRPチャネルの神経因性膀胱の病態への関与を明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度、当初購入を予定していた試薬等で研究の結果や進行状況から一部試薬の変更や購入の必要のない試薬が生じたため、次年度使用額が生じた。 次年度において、TRPチャネルの作動薬や遮断薬の購入に使用することを計画している。
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