研究課題/領域番号 |
24500597
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
小川 豊太(濱口豊太) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80296186)
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研究分担者 |
田山 淳 長崎大学, その他部局等, 准教授 (10468324)
冨家 直明 北海道医療大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50336286)
西郷 達雄 長崎大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (50622255)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 過敏性腸症候群 / リハビリテーション / 運動療法 / 交感神経 / 副交感神経 / 歩行量 |
研究実績の概要 |
過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)は腹痛と便通異常を伴って有症状者の日常生活に障害をもたらす.IBSには薬物療法,食事指導,生活習慣改善指導が行われる.本研究はIBS有症状者へ「体操」「散歩」「運動と食行動の教育」の介入を8週間行った. IBS有症状者60名(男性24名,女性36名,平均年齢21±1歳)を対象に,強化介入群と対照介入群に割付して運動介入を実施した.強化介入群は運動と食事行動の介入を実施してその経過を記録した.対照介入群には食事と運動の情報提供を行った.両群ともに自記式手帳と携帯型行動計測装置を使用し毎日記録させ,週1回の教育・カウンセリングと運動指導を行った.自律神経のストレス応答を測定するため.心電計を装着させて①安静.②ストレス負荷 (音妨害刺激を加えた2桁の計算問題30秒).③安静の順で3回測定した.8週間後に再度ストレス負荷実験とGSRSによる消化器症状を測定した.本研究は埼玉県立大学倫理委員会の承認を得た(24075). 本研究の結果,GSRSは群 (強化介入群, 対照介入群) と時期 (介入前,介入後) による分散分析の結果.有意な主効果を認めた (P=0.04).post-hoc検定により.8週間介入後の対照介入群は強化介入群よりもGSRS値が高かった (P=0.04).HF成分の変化はストレスによる有意な主効果を認めた.介入後では強化介入群は対照介入群に比べてストレス時のHF成分が有意に低下した. ストレス時に交感神経興奮が高まると相対的に副交感神経は低下し.消化器運動は一時的に抑制されることが考えられる.IBSではストレス時に副交感神経興奮が減弱せず.消化器運動が亢進しながらストレスを受容すると予想される.本研究結果はIBSの運動介入効果の一つとしてストレス時の副交感神経興奮を減弱させることを示した.また,IBS有症状者が日常で行うことのできる運動介入を8週間行うことで,消化器症状を減弱させることができることを示した.
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