研究課題/領域番号 |
24500598
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
金村 尚彦 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (20379895)
|
研究分担者 |
高柳 清美 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (20274061)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 老化 / 走行運動 / バランス運動 / 脊髄神経 / 活性化プロセス |
研究概要 |
老化により神経栄養因子の不活性化から神経機能の低下を引き起こす。適度な運動では、神経系内の栄養因子の放出が高まり、神経活動が活性化される。本研究では、老化により低下した神経機能を活性化することが可能であるか、走行・バランス運動の効果を検証することを目的とした。本年度は、老齢ラットと成体ラットに対し、動物用トレッドミルによる走行運動介入を行い、神経栄養因子とその受容体における調節機能がどのように変化するかについて検討した。Wistar系雄性ラット老齢群2年齢12匹、成体群10週齢10匹)を対象とした。走行群(走行期間;1日群、5日群、4週間群)、非走行群とランダムに分けた(老齢走行群6匹、老齢非走行群6匹、成体走行群5匹、成体非走行群5匹)。走行群は、小動物用トレッドミルにて、走行速度11.8m/min、走行時間1時間、1ヶ月の条件で運動を課した。実験終了後、腰髄を摘出した。リアルタイムPCR法にて神経栄養因子NGF、BDNF、NT3、GDNFと各々の受容体TrkA、TrkB、TrkC、Gfrα1、Gfrα2mRNA発現量を比較検討した。NGF、TrkA、NT3、TrkC mRNAの発現は、変化がなかったが、週齢により、その他の神経栄養因子と受容体については、運動を行う事により発現量が変化していた。成長期や、神経損傷などによりその修復のために、神経栄養因子mRNAの発現が増加するが、通常成体や老齢では、栄養因子の産出される量は少ないが、長期の運動を行うことにより、栄養因子mRNA発現が選択的に増加する結果となった。 神経栄養因子が運動によって脊髄神経自体での発現が増加したことや、末梢器官で発現したその因子が脊髄内の血管や神経の逆行性輸送によって脊髄へ到達し、脊髄内のmRNA発現量が上昇したため脊髄神経が活性化されている事が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、下記の目的を遂行するために、実験を実施した。老齢ラットに対し、トレッドミル走行を実施し、腰髄における神経栄養因子の発現量を比較する研究を行った。 平成24年度研究目標 1.成体から老齢にいたる過程での脊髄に存在する神経栄養因子とその受容体の発現が異なるのかその移行プロセスを明らかにする。 2.運動介入により、脊髄における神経栄養因子とその受容体の発現がアクティベーションされるかどうかを明らかにする。 以上の点について、概ね計画通りに進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の結果を踏まえ、週齢を群を増やし、さらに老化の過程における成体から老齢にいたる過程での脊髄神経における神経栄養因子と他の神経形成関連因子、神経ペプチド、アポトーシス関連因子との関係性を明らかにする。 運動介入により活性化された脊髄神経における神経栄養因子と神経突起伸長関連分子の発現の局在性を探索する。 またバランス運動負荷に対し、上記内容で脊髄神経が活性化されるかそのプロセスについて検証する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当該年度についてほぼ計画通りに使用した。
|