研究課題/領域番号 |
24500600
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
菊地 尚久 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (90315789)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 脳外傷 / 高次脳機能障害 / リハビリテーション / 評価 / 身体機能 / ADL / 社会復帰 / データベース |
研究概要 |
本研究の目的はリハビリテーション医療を受けた脳外傷患者に対して,回復期以降の障害状況,生活状況を基に,在宅復帰後の障害状況,生活状況の変化および就労状況および地域での活動状況などの社会復帰状況に対する調査を全国の病院・施設でから得られたデータを用いて行い,どのような内容のリハを,どれぐらいの量,どの程度の期間実施することが効果的であるかを分析し,脳外傷患者に対するリハ医療の質を向上させることを目的として行っている. 今年度はリハ医療を受けた脳外傷患者に対して,データベースを蓄積する準備を進めること,我々の急性期・回復期における脳外傷リハデータベースの各項目の傾向を分析すること,高次脳機能障害に関して適切な項目を選定することを目的として調査を施行した. 脳外傷リハデータベースの項目分析に関しては、脳卒中に関するリハビリテーション患者データベースと比較した。その結果、急性期・回復期のデータとも身体機能障害が軽度であること,ADLの自立度が高いことがその特徴として挙げられた.また入転院に関しては、急性期病院から直接退院する比率が高いことが特徴として挙げられた.本研究の結果は来年度のリハビリテーション関連学会での発表を予定しており,また医学雑誌への投稿も準備している. 高次脳機能障害の項目選定に関する調査では全国のリハビリテーション科専門医50名に対して,記憶障害,注意障害,遂行機能障害,認知機能障害,見当識障害などの項目でそれぞれのテストバッテリーを挙げて,最も利用している検査について尋ねた.その結果を用いて,一番頻度の高い項目と,二番目の項目を高次脳機能評価に対するデータベース項目として採用し,来年度以降の研究に用いることとした.本研究の結果はリハビリテーション関連学会での報告,医学雑誌での報告を準備しているほか,web等での公表についても検討している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はリハ医療を受けた脳外傷患者に対して,データベースを蓄積する準備を進めること,我々の急性期・回復期における脳外傷リハデータベースの各項目の傾向を分析すること,高次脳機能障害に関して適切な項目を選定することを目的として調査を施行した.当初予定した目的に対してはおおむね達成できたと思われるが、高次脳機能障害の評価項目に関しては項目選定にあたり,全国のリハビリテーション医に対する意見を聞くことが必要であると思われたので,追加の研究として調査を施行した. データベースの蓄積に関しては全国の急性期リハビリテーション,回復期リハビリテーションを担う病院に連絡を取り,協力体制を来年度以降得られることについて確認することができた.また維持期に関しては福祉施設と連携し,そこに勤務するリハビリテーション科医に協力を仰ぐ体制を準備できた. 脳外傷リハデータベースの項目分析に関しては,日本リハビリテーション医学会が持つリハビリテーション患者データベースのうち,脳卒中急性期、回復期に関するデータベースと我々が従来から有しているデータベースのうち項目が一致するものに関して比較検討を行った.その結果、急性期に関するデータ,回復期に関するデータとも,脳外傷患者データベースの方が身体機能障害が軽度であること,ADLの自立度が高いことが特徴として挙げられた.また入院に関しては、急性期病院から直接退院する比率が高いことが特徴として挙げられた. 高次脳機能障害の項目選定に関する調査では全国のリハビリテーション科専門医約50名に対して,記憶障害,注意障害,遂行機能障害,認知機能障害,見当識障害などの項目でそれぞれのテストバッテリーを挙げて,最も利用している検査について尋ねた.その結果を用いて,一番頻度の高い項目と,二番目の項目を高次脳機能評価に対するデータベース項目として採用し,来年度以降の研究に用いることとした.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は急性期から回復期・維持期までの経過が観察できた連続症例に対するリハ介入の検討を行う.対象は急性期から登録施設におけるリハ科医のデータベースの登録が可能であった症例で,その後登録施設におけるリハ科医のデータベースの登録が可能であるリハ専門病院または回復期リハ病院へ転院し,自宅退院した症例とする.また可能であればその後の地域での生活状況および社会復帰状況に関しても調査する. 調査するデータベース項目は身体機能・高次脳機能,精神機能の状況とその変化,ADL(FIM総点数および各項目),入院期間,治療および訓練内容,訓練時間,訓練期間などである.神奈川県内,東京都,浜松市,名古屋市,大阪府,広島県,広島市,北九州市などでリハ科医師の協力を得て症例登録を準備している.登録数は単年度で50-80名し,単年度で目標数に至らない場合には次年度にも追加登録を行う予定としている.このデータをから各項目の特徴を抽出し,急性期・回復期・維持期での変化の特徴,身体機能・高次脳機能・精神機能・ADLと入院期間,治療および訓練内容,訓練時間,訓練期間との相関とその後の地域での生活状況および社会復帰状況を検討する. 最終年度には在宅復帰後の障害状況,生活状況の変化および就労状況・地域活動状況などの社会復帰状況に対する調査を行う.調査項目は退院時の身体機能・高次脳機能,ADLと退院後のこれらの項目の変化に関する調査を行う。対象は急性期病院,リハ専門病院,回復期リハ病院などで登録施設におけるリハ科医のデータベースの登録が可能であり,自宅退院した症例のうち,その後6か月以上外来フォローが可能であった症例とする.このデータを社会復帰状況と急性期・回復期・維持期におけるリハの種類・その内容,訓練量,各ステージにおける訓練期間などについて分析検討し,適切なリハ介入モデルを提示する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|