研究課題/領域番号 |
24500601
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
近藤 正樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20315964)
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研究分担者 |
中川 正法 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50198040)
武澤 信夫 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70405265)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ミラーテラピー / NIRS / 脳梗塞急性期 / 可塑的修復過程 |
研究概要 |
ミラーテラピーは脳梗塞患者の上肢麻痺のリハビリテーションに有用であり,脳可塑性の関与が考えられるが,そのメカニズムは十分解明されていない。本研究の目的は上肢麻痺を伴う脳梗塞症例の急性期にミラーテラピーを行い,実施中の脳活動をNIRSによってリアルタイムに測定し,急性期および慢性期の脳血流賦活反応の程度,広がりを解析することによりミラーテラピーによる脳の可塑的修復過程のメカニズムを明らかにすることである。 上肢麻痺を呈する脳梗塞症例をミラーテラピー実施群(MT群)と通常の理学療法,作業療法実施群(通常群)にランダムに分け,急性期リハビリテーションを行った。リハビリテーション開始後1週間程度でNIRSを用いてミラーテラピーを課題とした脳血流賦活反応を測定,解析した。急性期の麻痺の改善を一次エンドポイント,慢性期の麻痺の改善を二次エンドポイントとして,ミラーテラピー実施の有無による影響を検討する。麻痺側(右麻痺ないし左麻痺),脳梗塞部位,麻痺の重症度,NIRSの脳血流賦活反応(程度,広がり)の麻痺の改善への関与とNIRSの脳血流賦活反応への他の因子の関与を検討する。 平成24年度は患者適応基準,麻痺の評価法を設定し,適応症例の登録,データベースの作成,研究遂行の流れの調整を行った。患者の状態によりミラーテラピーを実施することが困難な場合があるため適応基準を設定し,疎通・理解が困難,視力障害,視覚認知障害,重度の感覚障害,完全麻痺は除外するものとした。また,麻痺の評価方法としてBrunnstrom法,Fugl-Meyer法,上田十二段階法の3つを採用した。登録症例は計11例であり,内訳は右麻痺9例(MT群4例,通常群5例),左麻痺2例(MT群1例,通常群1例)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は患者適応基準,麻痺の評価法を設定し,適応症例の登録,データベースの作成,研究遂行の流れの調整を行った。 登録症例は計11例であり,内訳は右麻痺9例(MT群4例,通常群5例),左麻痺2例(MT群1例,通常群1例)であった。全例で急性期にミラーテラピー課題によりNIRSを測定して,OxyHbの賦活反応(程度,広がり)を評価し,退院・転院時に急性期の麻痺の改善度を評価した。症例情報(麻痺側,脳梗塞部位,介入前の麻痺重症度, NIRSの脳血流賦活反応の程度,広がり)について随時入力し,データベース化を進めている。脳梗塞症例の入院後にリハビリ依頼時に症例の評価,症例の登録,割付,介入,NIRSの測定,退院・転院時の評価の流れを速やかに行える体制が出来上がった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度で研究遂行の流れが速やかの行える体制が出来上がり,基本となるデータベースの枠組みを作ることが出来た。 平成25年度は新規症例を引き続き登録し症例数の蓄積を行っていく。平成24年度は体制構築を含めた開始準備や開始時期(6月より開始)のために症例数が11例と十分とは言えない登録数であった。また,右麻痺9例,左麻痺2例で左麻痺症例が少なかった。平成25年度は左麻痺中心にさらに症例登録を加速していく予定である。 また,平成24年度登録症例の1年後フォローアップ(慢性期の麻痺の改善度,NIRSの測定)も併せて実施していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
ミラーテラピー:ミラーテラピーによるリハビリテーションを複数症例で同時進行する場合があり,ミラーテラピー用ミラー付きボックスを新たに作成する。 NIRS検査:平成24年度は研究代表者主体でNIRSの測定を行ったため十分な症例数をこなせなかったと思われる。平成25年度は研究代表者以外に作業療法士,検査補助の2名研究補助員の協力を要請する予定でありそのための謝金を必要とする。また,NIRSの測定にかかわる検査資材の費用が必要となる。 データの解析:統計解析・画像解析のためのコンピューターソフト,検査中の様子や課題実施時の状況を記録するためにデジタルビデオを購入,データベースの入力,管理に携わる研究補助員への謝金を必要とする。 その他:研究に必要な情報の収集,研究成果の発表のための学会出張費,関連書籍および論文作成にかかわる費用を必要とする。
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