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2012 年度 実施状況報告書

除皮質されたマウスの還流標本を用いた呼吸/循環と歩行の間の自律機能の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24500612
研究種目

基盤研究(C)

研究機関昭和大学

研究代表者

矢澤 格  昭和大学, 医学部, 助教 (40360656)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード呼吸と上肢/下肢運動の自律機能
研究概要

本研究は、“自律機能”のメカニズムに関与する中枢神経系の機能的相互作用の解析を行うために企画された。今年度は、“特異的な呼吸状態(= Hyperoxia/Normocapnea)”に曝すことによって左右上肢の交互運動のリズム産生源であるCentral Pattern Generator (CPG)を活性化し、下肢のみならず上肢においても左右の交互運動が自発的に誘発できるかどうかを電気生理学的手法を用いて調査した。対象は、当初予定していた成体マウス(C57 BL/6)だけでなく、生後21日令以下のラット(Wistar)から作成された除皮質還流標本を用いた。横隔神経活動(第4頸髄由来)、左右の筋皮神経活動(第5~8頸髄由来)を細胞外記録法により導出し、それぞれ「呼吸活動(主に吸気)」と「上肢の左右交互運動」の指標とした。
特異的な呼吸状態の程度を徐々に重篤な高酸素状態に変えることにより、 横隔神経活動に対して同期しながら左右同時に産生されていた上肢の神経活動パターンは左右交互に起こるパターンに変わり、興味深いことに、呼吸活動と左右上肢の交互運動の間のリズム変化が引き起こされた。すなわち、1回の吸気に対し左右上肢の交互運動が2~3回起こるリズムから、1回の吸気に対し1回の左右上肢の交互運動が起こるリズムに変わった。
上記から、左右上肢の交互運動のリズム産生を行うForelimb’s CPGによって引き起こされる活動は、第5~8頸髄間で構成される神経ネットワークから記録できることが判明した。また、“特異的な呼吸状態“によって引き起こされた変調した交感神経トーヌスは、CPGを活性化し上肢の交互運動を産生することがわかった。なお、左右上肢の交互運動時における呼吸(吸気)リズムの産生が上位脊髄の活動によってなされる可能性を示唆するデータは得られている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

その理由は、
(1)A working heart-brainstem preparation標本の基礎データ収集が終わっていない。そのため、この標本の特性が把握できていない。(2)除皮質還流標本に薬剤(NMDA + Serotonin + NoradrenalineあるいはDopamine)を投与することにより左右上肢の交互運動は誘発できるが、呼吸は止まってしまう。今のところ、呼吸が止まらず左右上肢の交互運動を誘発できる薬剤の検討が行われていない。(3)左右上肢の交互運動時における呼吸(吸気)リズムの産生が活性化したCPGによってなされる可能性をサポートするデータは得られているが、上肢の運動時に起こる上位脊髄から脊髄上向路を介した脳幹へのシグナル伝達の遮断法の検討が行われていない。

今後の研究の推進方策

次年度は、呼吸(呼吸中枢)と上肢の交互運動(上位脊髄にあるとされるCPG)との間の機能的相互作用の有無を電気生理学的手法に加え、光学的計測法を用いて調べることが中心となる。呼吸と歩行/上肢の交互運動に関連する中枢神経系は、脳幹や脊髄以外にもあることは形態学的な事実、および様々な先行研究から明らかである。そこで、「“呼吸と歩行の間の自律機能”の誘発時の脳幹、脊髄、“呼吸と歩行/上肢の交互運動の間の自律機能”に関連する他の中枢神経系との間で起こっている神経伝達様式を示す機能的マップの作成」を行う。

次年度の研究費の使用計画

現在4チャンネルの電気的活動を導出できるアナログ/デジタル変換器とアンプを用いて神経活動を導出している。しかし、上肢、下肢、呼吸、そして血圧をモニターするためには最低6チャンネルの電気的活動を導出できるアナログ/デジタル変換器、アンプの導入と増設が必要となる。また、光学的計測では、除皮質還流標本用に計測機器の光学系を修正、蛍光色素、特定の蛍光波長を通すフィルター等が必要となる。これら上記に係る物品の購入を予定している。さらに、これまでの研究成果を国内外に発表することを予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Switching of lower jaw’s movements between the inspiratory and expiratory phases generated by chemoreceptor inputs2013

    • 著者名/発表者名
      Kiyomi Nakayama, Ayako Mochizuki, Tomio Inoue, Yazawa Itaru
    • 学会等名
      International Union of Physiological Sciences 2013
    • 発表場所
      Birmingham, UK
    • 年月日
      20130721-20130726
  • [学会発表] Lower jaw’s movements generated in the inspiratory phase in a decerebrate and arterially perfused in situ rat preparation2013

    • 著者名/発表者名
      Kiyomi Nakayama, Mitsuru Yokomatsu, Ayako Mochizuki, Tomio Inoue, Yazawa Itaru
    • 学会等名
      日本神経科学大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130620-20130622
  • [学会発表] A decerebrated, arterially-perfused in situ rat preparation for studies of breathing, chewing, and swallowing behaviors2013

    • 著者名/発表者名
      Kiyomi Nakayama, Ayako Mochizuki, Seiji Shiota, Tomio Inoue, Yazawa Itaru
    • 学会等名
      日本生理学大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130327-20130329

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公開日: 2014-07-24  

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