研究課題
呼吸/循環中枢と三叉神経系は脳幹でオーバーラップすることは形態学的研究結果から既知である。本研究では、電気生理学的に“呼吸/循環、歩行の間で起こる相補的で機能的な相互作用”を調べ、これら中枢神経系間で起こる自律機能のメカニズムを解析した。先行研究と同様に灌流標本を作成し、以下を発見した。(1)変調した交感神経トーヌスは脊髄下向路を介しFPGを活性化して上肢に自発性の歩行様活動をできること、(2)歩行が誘発されない呼吸状態では標本の開口運動は吸気相で産生される(=呼吸関連活動)。一方、上肢に自発歩行が産生されるHyperoxic/normocapnicな生理状態では呼気相と吸気相の両方で開口運動が産生される。(3)末梢と中枢のO2センサーから求心性入力量が増えるように低酸素状態にすると、開口運動は吸気相から呼気相にフェイズシフトする。(4)歩行時には呼吸数増加、そして循環中枢由来の交感神経活動の増加による一過性の血圧上昇が自律的に産生される。(5)歩行時には活性化したFPGが脊髄上向路を介し脳幹内の呼吸中枢や三叉神経系に影響を及ぼし(=Spinal-Feedback Mechanism)、呼気相の開口運動を産生する。一般に、歩行/運動時の呼吸数上昇や昇圧作用は、筋活動等による代謝活動によって起こる血中酸素飽和度の低下が末梢化学的受容器で感受され、その情報が迷走・舌咽神経を介し呼吸/循環中枢に送られた結果起こると考えられていた。しかし、上記の結果から歩行・運動時には効率よく酸素が肺に取り込まれ、かつ、迅速な血中酸素飽和度の是正がなされるように呼吸数上昇、一過性の血圧上昇、口呼吸が呼吸/循環中枢、三叉神経系、上位脊髄(頸髄)の間の中枢経路で自律的に起こることが判明した。
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