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2012 年度 実施状況報告書

脳卒中後歩行障害に対する、バタフライ・コイルによるrTMSの臨床的有用性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 24500614
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

角田 亘  東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (00453788)

研究分担者 安保 雅博  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00266587)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード脳卒中 / 歩行障害 / 経頭蓋磁気刺激 / リハビリテーション / 理学療法 / バタフライ・コイル
研究概要

当該年度においては、脳卒中後歩行障害に対するバタフライ・コイルによる高頻度経頭蓋磁気刺激の有用性を、20分間の実刺激と20分間のsham刺激との間で歩行機能に対する影響を比較することで明らかにすることができた。
歩行障害を呈する脳卒中後患者18人を対象に、クロス・オーバー試験として、全ての患者が、高頻度経頭蓋磁気刺激(実刺激)とsham刺激の両者を20分間ずつ受けることとし、それら刺激の直前、直後、刺激終了10分後、20分後の計4回にわたり、歩行機能についての評価を行った。二つの刺激の間隔は24時間とした。高頻度経頭蓋磁気刺激は、バタフライ・コイルを用いて、10秒間の10ヘルツ刺激を50秒間の間隔で、20回繰り返すことで適用した。一方、sham刺激は、コイルを同じ位置に直角に立てて同様の刺激を与えることで行った。歩行機能の指標としては、歩行速度とphysiological cost index(以下、PCI)を用いた(PCIは、歩行効率が向上すると値が小さくなる)。結果として、第一に歩行速度は、sham刺激群と比して高頻度経頭蓋磁気刺激群では、20分間の刺激直後から、有意に歩行速度が増加し、この増加は刺激終了20分後の時点まで持続した。第二にPCIへの影響としては、刺激直後では、高頻度経頭蓋磁気刺激群でsham刺激群と比して有意な低下が確認されたが、その後においては両刺激間の差は有意ではなかった。さらに、統計学的検討を行うと、歩行速度とPCIのいずれについても、2つの刺激間で持ち越し効果がないことが確認されたが、これは、高頻度経頭蓋磁気刺激の効果が24時間は維持されないことも示していると解釈された。
結論として、バタフライ・コイルによる20分間の高頻度経頭蓋磁気刺激は、脳卒中後患者の歩行機能を短時間であるが改善させるものと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前述した「脳卒中後歩行障害に対するバタフライ・コイルによる高頻度経頭蓋磁気刺激の有用性」を検討するために行った、20分間の実刺激と20分間のsham刺激との間でのクロス・オーバー試験の結果を、英語論文として報告、かつ国際学会で発表することができた。英語論文としては、2013年になってからActa Neurologica Scandinavicaに”High-frequency rTMS using a double cone coil for gait disturbance”と題した報告の掲載が確定した。学会発表としては、国際脳卒中学会2013(2013年2月。米国・ホノルルにて)で”Effects of high-frequency rTMS applied over bilateral leg motor areas using a double cone coil on walking function in post-stroke patients”と題した発表を行った。

今後の研究の推進方策

前述した「脳卒中後歩行障害に対するバタフライ・コイルによる高頻度経頭蓋磁気刺激の有用性」を検討するために行った、20分間の実刺激と20分間のsham刺激との間でのクロス・オーバー試験の結果から、バタフライ・コイルによる高頻度経頭蓋磁気刺激を治療手段として用いるためには、複数日にかけての連続(連日)適用や、集中的リハとの併用の有用性が検討されるべきである。よって、今後は、同様の対象に対して、これらの介入を行い、その安全性と歩行機能に与える影響を検討したく考えている。特に、対象を「高頻度経頭蓋磁気刺激+集中的リハ」群と「sham刺激+集中的リハ」群とに無作為に二分したうえでの比較試験を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

刺激に用いるバタフライ・コイルは消耗品と考えられるため、新たなバタフライ・コイル(連続刺激が可能なクーラー・システムを装着したもの)を購入する予定がある。また、バタフライ・コイルによる経頭蓋磁気刺激と併用する集中的リハで用いる訓練用具を購入する予定もある(例えば、単純な校正のトレッドミル装置など)。
研究成果(特にバタフライ・コイルによる経頭蓋磁気刺激と集中的リハの併用の有用性に関して)の投稿に際して、英文校正目的で査読業者に依頼するための費用が必要である。また、成果を国内・国外の学会(例えば、日本脳卒中学会総会、日本リハ医学会学術集会、国際脳卒中学会など)で発表するための旅費(宿泊費など)も必要である。 なお、2013年2月に参加した国際脳卒中学会2013に関する旅費が、現時点で未処理であるため、これについても次年度の研究費をあてることになる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] ダブル・コーンコイルによる両側運動野下肢領域への反復性経頭蓋磁気刺激が脳卒中後の歩行機能に与える影響2013

    • 著者名/発表者名
      角田亘、安保雅博
    • 学会等名
      第38回日本脳卒中学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130321-20130323
  • [学会発表] Kakuda W, Abo M, Momosaki R: Effects of high-frequency rTMS applied over bilateral leg motor areas using a double cone coil on walking function in post-stroke patients.2013

    • 著者名/発表者名
      Kakuda W, Abo M, Momosaki R
    • 学会等名
      2013 International Stroke Conference, Honolulu. 2013. 2.
    • 発表場所
      米国ハワイ州ホノルル市
    • 年月日
      20130206-20130208
  • [学会発表] 脳卒中後遺症に対する治療的rTMS~リハビリテーションとの併用療法~2012

    • 著者名/発表者名
      角田亘
    • 学会等名
      第7回日本リハビリテーション医学会専門医会学術集会シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      20121117-20121118
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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