研究課題/領域番号 |
24500626
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪保健医療大学 |
研究代表者 |
境 隆弘 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (60353009)
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研究分担者 |
中村 憲正 大阪大学, 学内共同利用施設等, 教授 (50273719)
中田 研 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00283747)
小柳 磨毅 大阪電気通信大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20269848)
佐藤 睦美 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (40444533)
木村 佳記 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (00571829)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 膝十字靱帯損傷 / 膝関節剪断力 / 大腿四頭筋トレーニング / 腹臥位 / 下腿抵抗 |
研究概要 |
1.本研究の目的と計画 膝関節疾患のリハビリテーションにおいて、膝伸展筋力の回復は極めて重要な課題である。しかし、靱帯再建術後の症例では術式に応じてレッグエクステンション(開放運動連鎖)のような大腿四頭筋トレーニングの実施に制約が生じたり、変形性膝関節症例では目標とした筋収縮力が得られない場合がある。本研究の目的はこうしたトレーニングの問題点を解決するため、我々が発案した腹臥位での下腿近位(遠位)支点による膝伸展運動(Leaf spring exercise with proximal(distal) fulcrum : LSEP(D))の安全性と効果を検証することである。 平成24年度の計画は、生体内での脛骨変位量の解析のため、X線透視画像による LSEP(D)時の脛骨変位量を実測することとした。具体的には、レッグエクステンションと比較し、ACL損傷例ではLSEPが脛骨前方変位量を抑制すること、PCL損傷例ではLSEDが脛骨前方変位量を増大することを明らかにし、安全性を検証する計画であった。 2.平成24年度の研究成果 健常成人10名を対象に、床反力計を用いて膝関節屈曲20°での下腿前面にかかる力を計測し、静的平衡方程式を用いて膝関節剪断力の推定値を算出した。その結果、 LSEPでは膝関節に-27.8±45.7Nで後方剪断力が発生していた。また、 LSEDでは810.4±220.8Nの前方剪断力が発生していた。 LSEPトレーニングは、ACL再建術後早期に膝伸展位付近で移植腱に負荷を与えず、大腿四頭筋トレーニングを安全に行える可能性が示された。 LSEDトレーニングは膝関節に前方剪断力が発生しており、後方不安定性を有するPCL損傷に対して適用できると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度の研究目的は、膝十字靱帯損傷例を対象にしたX線透視画像による生体内での脛骨変位量の解析まで実施することであったが、X線撮影条件の決定までに多くの時間を要し、実症例の撮影には至らなかった。 但し、平成25年度に計画していた静的平衡方程式を用いた膝関節剪断力の推定モデルの作成が平成24年度から開始でき、完成に至ったことから、当初の研究目的の一つが早く達成した面もある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、早急に生体内の膝十字靱帯損傷例を対象にした脛骨変位量の解析に着手し、ACL損傷例ではLSEPが脛骨前方変位量を抑制すること、PCL損傷例ではLSEDが脛骨前方変位量を増大することを明らかにし、安全性を検証する。 また、平成25年度に計画していた静的平衡方程式を用いた膝関節剪断力の推定モデルでの計算結果が早く達成したため、平成26年度に計画していた変形性膝関節症を対象としたLSEDの適応についての検証の準備にかかり、期間内での研究の完了に向けて進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
作業の効率を高めるため、平成24年度に購入に至らなかった解析用のパソコンを購入する。 統計処理ソフトを購入する。 成果発表のため、国内外での学会発表や論文投稿の必要経費に充てる。 実症例ボランティア及び解析作業協力者への謝金に充てる。
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