研究実績の概要 |
検証に使用する上肢訓練支援ロボットの運動パターンに合わせて、前腕の回内外運動時に運動感覚を増強できる振動刺激の条件を策定した。対象は健常者5名。利き手の回内筋または回外筋の上(肘周囲)に振動刺激のコイルをホルダーで固定し、ロボットで前腕の回内外運動(ロボットによる受動:以下受動、非利き手によるアシスト:以下アシスト)を施行し、回内あるいは回外運動時に振動刺激を与えた。1分の回内外運動を1分の休憩をはさみ2回行った。振動刺激の周波数は50Hz,100Hz,150Hz変化させ、運動感覚の増強の程度をVAS(Visual Analog Scale)で評価した。受動では、回外運動時に回外筋に100Hzの刺激を与えた場合が感覚の増強が一番大きく、アシストでは、回外運動時に回内筋に100Hz又は150Hzの刺激を与えた場合が感覚の増強が一番大きかった。前年度策定し肘屈曲運動での振動刺激の方が運動感覚増強の効果が顕著であった。 本実験は、健常者7名を対象(内1名途中で参加中止)として上肢訓練支援ロボットの回内外運動中に与えた振動刺激による運動関連野の脳内酸素動態への影響について近赤外光イメージング装置を用いて検証した。1分の回内外運動を2分の休憩をはさみ3回行った振動刺激条件は、策定をもとに回外運動時に回内筋へ100Hzで与えた。検証条件は1.振動刺激なし、ロボット動きなし、2.振動刺激なし、他動、3.振動刺激なし、アシスト、4.振動刺激あり、受動、5.振動刺激あり、アシストとランダム順とした。運動感覚の増強が顕著であったのは、5.振動刺激あり、アシストの条件(6例中4例)であり、運動感覚の増強のある例では、酸素化Hbが増加する傾向にあったが、増加していない例もあった。予備実験の結果との解離は、近赤外光イメージング装置の頭部への装着が感覚刺激の増強に影響を及ぼしている可能性も考えられた。
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