研究概要 |
慢性腎不全(Chronic Kidney Disease; CKD)モデルを作成し、サウナ療法(Sauna Therapy; ST)反復後の腎組織でのeNOS mRNAの発現をReal time-Polymerase Chain Reaction(PCR)で確認することを目的とし、マウス(C57BL/6N)を用いて、5/6腎摘除(Nx)によるCKDモデルを作成し、無作為に偽手術・非ST (sham-non-ST, n=6)、偽手術・ST(sham-ST, n=6)、Nx・非ST (Nx-non-ST, n=5)、Nx・ST(Nx-ST, n=5)の4群に分けた。1日1回STに暴露させ、12週後に体重、収縮期血圧を測定(tail-cuff法)し、代謝ケージを用いて24時間蓄尿量、水分摂取量を確認した。残存腎臓を摘出し、Real time PCRでeNOS mRNAを定量化した。STには電熱式による対流温熱(EKK-450, AS ONE)を用い、深部体温を1℃上昇させるために41℃で15分間加温し、その後32℃で20分間保温した。Nxモデルは偽手術に比して有意な血清クレアチニンの上昇が認められた。Real time PCRによる解析でeNOS mRNAの発現量は、Nx-non-STに比してNx-ST groupで有意な増加が認められた。C57BL/6Nは遺伝的特徴から腎臓の耐性が高くCKDの進展が極めてマイルドであるため、術後に尿中アルブミンや血圧に差は認められなかったが、血清クレアチニンの有意な上昇が認められ腎不全モデルの完成が確認された。腎細動脈でeNOS mRNAの発現が増加しており、糸球体の血管内皮機能改善が期待できる。このBL6だけでなくストレインを変え、129SVでも同様の実験を行い、まだ完全に終了していないが、ポジティブな結果が得られつつある。
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